兵庫県の百条委員会は連日、報道を賑わせることになった。伝家の宝刀と呼ばれる「百条委員会」。維新首長、議員たちが問題を起こし、百条委員会が設置されたのは兵庫県だけではない。どこの自治体が、維新首長、議員たちのどのような不祥事で百条委員会設置に至ったかを知ってほしい。維新の異常ぶりがよく伝わると思う。
百条委員会とは
報道でよく見聞きする「百条委員会」とは何か。日本経済新聞(2024.7.19.)より引用する。
百条委員会は、自治体の事務に関する疑惑や不祥事を調べるため地方議会に設置される。地方自治法100条に規定され、議会の議決に基づき調査実施を決める。国会の国政調査権に対応する強い権限があり、関係者の出頭や証言、記録の提出を請求することができる。
議員が委員を務め、人数などは各自治体の条例で定める。議会事務局などの自治体職員がサポート役を担う。
虚偽の証言、正当な理由がない証言拒否や記録の不提出に罰則があり、これらの行為が認められた際に「議会は告発しなければならない」とも定めている。
同記事にも示されている通り、熱海の大規模土石流を巡る責任(2021年)、東京都の築地市場移転問題(2017年)、千代田区長の不動産購入問題(2020年)、堺市長の選挙費用(2019年)などが記憶に新しい。

兵庫県
兵庫県議会 文書問題調査特別委員会で百条委員会の内容を正確に確認できる。最終報告書も読めるので是非ご覧いただきたい。
こちらも日本経済新聞(2025.3.4.)の記事を引用する。
兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)は4日、調査報告書を公表した。告発を受けた県の対応について違法の可能性を指摘し、斎藤氏の言動について「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」と認定した。

ここで記録しておかねばならないのは、百条委員会設置に至るまでの斎藤元彦兵庫県知事の対応への指摘だ。死者を出してしまったことは痛恨の極みだが、それについて「道義的責任がわからない」と斎藤元彦兵庫県知事が発言したことは衝撃的だった。公益通報に詳しい奥山俊宏上智大教授は「まるで独裁者が粛清するかのような構図だ」と述べた。読売新聞(2024.9.6.)記事より引用する。

兵庫県議会の百条委員会は5日、斎藤元彦知事に関する内部告発への県の対応を検証するため、公益通報に詳しい奥山俊宏・上智大教授に参考人として見解を聞いた。奥山教授は、県が告発を公益通報として扱わずに告発者を懲戒処分としたことは、公益通報者保護法に違反するとの見方を示した。一方、斎藤知事はこの日も「対応は問題なかった」と述べた。
「文書の送付を理由とした圧迫的な聴取、解職、懲戒処分……。全て、保護法に違反する」。奥山教授はこの日午前の百条委で、県の対応の違法性を説明した。
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前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)は3月中旬、一部の報道機関などに、斎藤知事に関する7項目の疑惑を指摘した告発文書を送付した。
奥山教授が指摘する一つ目のポイントは、斎藤知事が文書の内容を把握した直後に告発者捜しを指示したことだ。3月25日には、当時副知事だった片山安孝氏が男性職員を聴取。男性職員の公用パソコンから告発文書のデータが見つかったことなどから、県は同27日に男性職員を県民局長から解任した。
公益通報者保護法では「事実と信じるに足りる相当の理由」などがある場合、報道機関などへの「外部通報」も保護の対象となる。同法の指針では、県に告発者捜しの防止などの体制整備が義務づけられており、奥山教授は「知事が先頭に立って義務に違反する行動をとった」と批判した。
斎藤知事が3月27日の記者会見で「業務時間中に『うそ八百』を含め、文書を作って流す行為は公務員として失格」と述べたことについては、「権力者が部下の一個人に、公開ハラスメントに及ぶのは許されない」と指摘した。
二つ目のポイントは、男性職員が4月4日に県の公益通報制度を利用して同じ内容を通報したにもかかわらず、県は制度に基づく調査結果を待たず、5月7日に「(文書は)核心的な部分が事実ではない」とし、男性職員を停職3か月の懲戒処分としたことだ。
奥山教授は「5月の段階で公益通報に当たらないと判断したのは拙速に過ぎた」と説明。疑惑を指摘された知事や県幹部が主導して内部調査を行い、処分したことについて、「まるで独裁者が反対者を粛清するかのような構図だ」と語った。
斎藤知事「県の対応は問題なかったと思っている」
一方、この日午後に行われた百条委の証人尋問では、懲戒処分について人事当局に助言した藤原正広弁護士が出頭し、処分は問題ないとの見解を示した。
これまでの証人尋問では、人事当局が「懲戒処分は公益通報に基づく調査結果を待たなければならない」との見解を示したにもかかわらず、斎藤知事が4月中旬に早期の処分を検討するよう指示したことが判明。この際、藤原氏が処分について「法的には可能」との見解を示した。告発文書については、県への弁護士意見の中で「居酒屋などで聞いた単なるうわさ話を信じて作成した」としていた。
この日の証人尋問では、「お酒を飲みながら、ということになれば、そこに真実性が担保されているか、疑問を抱かざるを得ない」と発言。「文書の内容だけを見れば、真実相当性は否定されると判断している。(告発者への)不利益な扱いは禁止されず、処分は可能」と述べた。
この日夕に証人尋問に出頭する予定だった井ノ本知明・前総務部長は、体調不良などを理由に欠席。井ノ本氏は、県の告発文書の内部調査の責任者だった。
百条委は6日、公益通報への対応などについて、斎藤知事と片山氏への証人尋問を公開で行う。斎藤知事は5日午後、神戸市内で記者団に「私なりの考えをしっかりと伝えていきたい。県の対応は問題なかったと思っている」と述べた。
そして国会では2025年3月4日、公益通報を理由とした公務員や民間企業の従業員に対する不利益な取り扱いの禁止などを盛り込んだ公益通報者保護法改正案が閣議決定された。「元彦法」と呼ぶ人もいる。今なお斎藤兵庫県知事は「対応は適切だった」という姿勢を崩していないが、「公務員失格」「嘘八百」と通報者を貶め、「一死をもって抗議する」と元県民局長が自死したことは無念の一言だ。百条委員会の調査結果は通報内容に根拠があるというものだった。嘘八百、公務員失格はいったい誰にふさわしい言葉だったのだろう。

なお兵庫県では、百条委員会と並行して進められていた第三者調査委員会からも2025年3月19日に調査報告書が提出された。斎藤知事は真摯に受け止めると発言しながら、県の対応に問題はなかったという姿勢を崩していない。兵庫県は極めて異常な状況が続いているといえる。
池田市
池田市では市長の役所内にサウナを持ち込み使用した件は、維新ペディアで記録していた。この記事をご覧いただきたい。

吹田市
吹田市でも、当時の維新市議の政務活動費問題で百条委員会が設置されている。こちらも維新ペディア記事から。

守口市
維新が引き起こした問題による百条委員会の設置の多さにあらためて驚く。我々、維新ペディアが記録に苦労するはずだが、こちらは守口市。

尼崎市
こちらも維新市議の政務活動費着服による百条委員会設置。2023年に百条委員会が設置された後も、虚偽の書類を提出、虚偽の答弁をするなど、悪質性もいわれたが、ようやく2025年3月に辞職した。

まとめ
この他、長崎県でも百条委員会設置を求める動きが報道されている。
維新にたまたま不祥事を起こす者がいたのではなく、これが維新なのだと言わざるを得ないと思う。百条委員会報告書で、維新の責任を問う内容も見受けられた。除名で終わり、離党で終わり。再選後はしれっと復党というのも、維新のパターンだが、維新幹部がこれら不祥事の責任を取ったことがない。あらためて維新の無責任体質を問わねばならないだろう。
SNSでは #維新に投票してはいけない #維新のおかしさに気づいてね というタグをよく見かける。維新に投票しない。維新を広げない。これは私たちの社会を守るために、本当に大切なことだと強く感じてならない。