永藤堺市長、市民サービスを切る改革の裏でポンコツ気球に予算を投入

URLをコピーしました！

永藤堺市長が堺市長選に当選した直後の2019年7月、吉村知事との会見で発表した、気球を使った観光事業「おおさか堺バルーン」。財政の逼迫を理由に市民サービスカットが次々と決定される中、唐突に発表された貴重な予算を使っての遊覧気球運営に、多くの批判が集まっています。

実はこの気球の高度（約100m）からは仁徳天皇陵古墳の全体像は見渡せないのですが、運営事業者はより高い位置から撮影した古墳全体の画像をイメージとして公表。誇大広告だと指摘を受けています。

さらに、開業直前のトラブルでバルーンのヘリウムガスが漏出。安全のため全てのヘリウムガスが排出・廃棄されました。希少な資源でもあるヘリウムガス数千万円分は空へと消え、事業再開の目途はたっていません。(2023年堺市長選の永藤候補の公約では継続）

なお、この計画は役所も知らないうちにトップダウンで決定されたことが判明しています。

①誇大広告に堺市は加担していいのか。

気球が上がる高度100mでは、宣伝文句にある仁徳天皇陵古墳の「鍵穴型」の全体像は見えません。〈参考：堺市の交通まちづくりを考える会 2023/5/12〉

②希少な重要資源であるヘリウムガスを気球に使っていいのか。

この気球はヘリウムガスを使います。ヘリウムは世界的に枯渇が危惧されており、医療用MRI、半導体や光ファイバー、ロケット、宇宙船など、さまざまな分野で必須の貴重な資源です。
（熱気球ではなくヘリウムガスの気球と指定したのは堺市です。）

③事故によりヘリウムガスを全て廃棄、再開のめど立たず。

熱気球と違い、一度充填すると膨らんだままの状態を維持せねばなりません。この点については以前から強風時の危険性が指摘されていました。そんな中、トラブルによるガス漏れで風への抵抗力が弱まる問題が発生。安全のために内部のガスをすべて排出することになり、大量のヘリウムガスが全て無駄になってしまいました。（今回、事業者負担のヘリウムガスは数千万円分。今後さらにヘリウムの価格は上がる見込みです。）

④財政危機だと市民サービスをカットする堺市が、気球に税金投入を続けるのか。

2021年に財政危機宣言を発表し、さまざまな市民サービスをカットした永藤市長。
その一方で、堺市の税金約5000万円を使った気球事業を吉村知事と永藤市長がトップダウンでマスコミ発表。堺市が行政としての準備も整わないまま事業がスタートしました。

堺市は今後もさまざまな市民サービスをカットする予定です。そんな中、問題だらけの気球に貴重な予算を投入するべきなのでしょうか。
https://twitter.com/Nanoha7Flower/status/1655622332956946432/photo/1

情報源

・世界遺産の古墳、気球で一望　堺市長「20年4月にも」

堺市の永藤英機市長らが8日、関西国際空港で記者会見した。「百舌鳥（もず）・古市古墳群」の世界文化遺産への登録決定を受け、2020年4月ごろに気球を用いた観光計画を実施したい考えを明らかにした。…会見に同席した吉村洋文・大阪府知事は「大阪府と堺市が強烈にタッグを組んで実現したい。スピード感をもって進めていく」と話した
〈日経新聞 2019/7/8〉

・堺市長選としぼんだ気球｜失敗した維新政治

…ある堺市議が、事業の実態についてこう話す。
「今回の気球の案は吉村知事が言い出し、永藤市長も人気者には逆らえないと、計画を決めた。…市議会では反対意見もあったが、永藤市長が押し切った。コロナ禍にあって、ヘリウムガスは医療現場に不可欠なもの。撤回する理由付けにもなったが、それでも維新は気球にこだわった」
…市の関係者は、次のように指摘する。
「気球を5月末と急いだのは、維新が選挙利用するためじゃないのか。そして、G7会合にも気球を運行させて、維新の政治的な成果をPRしたいという魂胆があったように思える。…」
〈ニュースサイトHUNTER 2023/5/17〉

・「ヘリウム危機」が本当にヤバい理由を「元素の起源」から教えます
　風船の中身から考える「宇宙最大の謎」

2019年12月20日、日本物理学会などの学会や大学、研究機関が緊急声明「ヘリウムリサイクル社会を目指して」を発表しました。ふだんの生活では実感できませんが、産業・医療や基礎科学研究の現場で必要とされるヘリウムガスの枯渇が迫っている…ヘリウムは現代の科学技術に欠かせない存在だ。医療、工業、学術研究にまつわる広い用途で、極低温を実現するための冷却剤などとして利用される。日本で利用されているヘリウムは主にアメリカやカタールなどから輸入されている。その産出量は限られている上に、政治的・商業的要因が重なり価格が高騰し、現在、入手が極めて困難になっている。
〈現代メディア 2020/2/20〉

・おおさか堺バルーン
いつか教科書で見た、鍵穴のカタチを見てみたい！そんな夢がついに叶います。

・【おおさか堺バルーン】世界遺産を上空から眺望する学びと感動の体験！（クラウドファンディング）
事故原因不明で継続不明の後も続けられ、320万円を集めた。（募集は1000万円）

・【大切なお知らせ】ガス気球の運行開始時期の延期について〈マクアケ 2023/5/9〉
気球の球皮内に充填したヘリウムガスが外部に漏出していることが判明しました。5月8日（月）は日中の風が強くなる予報だったこと、また、一部ガスが抜けたことで風への抵抗力が弱まってしまうことから、その他の機材・設備の保護のために内部のガスをすべて排出することを決定しました。
【今後の対応】
原因究明に向け、迅速に調査を行い、安全な運行ができるよう努めます。

・世界遺産を見下ろしたいのに　遊覧気球が上がらないグローバルな事情〈朝日新聞デジタル 2023/3/26〉

参考：市民による堺市文化観光局観光部観光推進課への問い合わせ結果〈堺市の交通まちづくりを考える会 2023/5/12〉
Q. 発案は竹山元堺市長ですか？
A. 古墳群の世界遺産登録とその活用方法としての調査は竹山前市長時代に始まっていますが、今回のバルーン計画とは違います。

Q. 竹山前市長が今回の共同事業に直接関与していないとすれば、誰が関与した計画なのでしょうか？
A. 今回の堺市の気球計画は、令和元年7月に古墳群が世界遺産に登録発表された直後、吉村大阪府知事と永藤堺市長の会見で発表された。役所としては、事前にガス気球で観光事業化できるかの判断を仰がれたが、事業化の指示はトップダウンだった。

Q. 高度100mのゴンドラから古墳を見たときに、航空写真などで紹介されるような鍵穴型に見えますか？
A. 鍵穴型に見えなくもないですが、いわゆる航空写真などの画像のようには見えません。およそ300mほどの高度から見た場合、鍵穴型に見えるようです。堺市においてもドローンで100mの高さから古墳を撮影しましたが、おっしゃる通り鍵穴型には見えませんでした。この画像は今のところ非公開です。