議員定数削減に財政効果なし。政治家の「 #身を切る改革」の効果は大阪市財政の0.001%以下

URLをコピーしました！

仮に大阪市議会の費用をゼロにしたとしても、その削減効果は大阪市財政全体の0.001%以下でしかありません。議員定数の削減に、大阪市財政の節約効果はありません。
また、議員を減らすということは、市民の代表として市長・行政をチェックし、市民の声を届ける人を少なくするということです。東京都の場合、区議会議員（大阪市会議員と同じ位置づけ）は約1500票で当選ですが、大阪市は6000票を超える得票でもほぼ落選するなど、人口あたりの議員定数が非常に少なく、死票が多い状態です。今後さらに議員削減が進めば、ますます民意が市政に反映されにくくなります。

財源を生まない議員定数削減が生むものは「市長の独裁」

大阪市の市長となる横山英幸氏が、「大阪市会議員の定数削減」で「身を切る改革」を打ち出しました。
しかし令和4年の大阪市の収入は1兆8419億円。そのうち議会運営や議員歳費などを含む議会費は25億円で、予算全体のたった0.0014％です。議会を無くし、議員をゼロにしたところで、削減できる費用は0.0014％。
つまり、議員定数削減で「成長の財源を生みだす」のは不可能なのです。

そもそも、大阪府・市の議員数は多いのでしょうか？実は人口比で見てみると、大阪府・市の議員があまりに少ないことが分かります。例えば東京都区議選は約1500票あればほぼ当選ですが、大阪市議選は現在でも6000票を超える得票があっても落選者続出という状況なのです。

大阪府：人口880万人÷府議会議員定数79人＝11万人（全国都道府県平均3.9万人の約3倍）
大阪市；人口276万人÷市会議員定数83人＝3.3万人（全国政令市平均2.2万人の約1.5倍）

大阪市議会の議員定数は、維新の会の主導により86、83、81人と段階的に削減されてきました。このうえ71人まで削減となると、24選挙区の大阪市では死票がさらに増え、無投票になる確率も高まります。
※大阪維新の会が過半数を占める大阪府議会は、2023年統一地方選で88人から79人まで定数を減らし、無投票当選が53選挙区中15人となりました。

議員は市民の代表です。地域住民に対し、東京や全国平均よりもはるかに少ない議員しかいない議会で、きめ細かい地方行政を目指せるでしょうか？
強い権力を持つ市長のチェックをするのが議会の役目です。市長のチェック役を減らすことが果たして良いことなのか、私たち有権者はしっかりと考えるべきでしょう。

情報源

大阪市議会、定数10減提案へ　維新、過半数獲得で公約前倒し〈共同通信2023/04/27〉

　政治団体・大阪維新の会は、大阪市議会の現行定数81を約10削減して70前後とするため、条例の改正案を提出する方向で調整に入った。9日の市議選で過半数を獲得し、単独での議決も可能になった状況を踏まえ、掲げた公約を前倒しで実行する構えだ。維新関係者が27日、明らかにした。5月18日開会の市議会で提案し、会期中の採決を目指す。