第4波、大阪府のコロナ対策は失敗しました。その直後の2021年6月、大阪府議会・健康福祉常任委員会では、大阪維新の会以外の会派の議員3名から知事質問が求められます。しかし、維新議員が質問終結の動議を提出。起立多数よって可決され、新型コロナウイルス感染症対策に関する質問は、終結してしまいます。吉村知事の第4波の責任が歴史的に一度も問われていないことに関係しているのではないでしょうか。決定権者である知事執行の在り方を監視する議会で、知事質問がされることなく数の力で委員会が集結。このような議会運営の体制が許されれば、知事の行政責任はどこで問えるというのでしょうか?
情報源
大阪府議会議事録 令和3年 6月健康福祉常任委員会 06月24日-01号
原田りょう議員(自由民主党・無所属)
「大阪府医師会の茂松会長が、第四波においては昨年を上回る対応容量を各医療機関に引き受けていただいたが、これを超える病床、人材の確保は困難である。
病床を用意しても人手が足りないというお声を聞いています。人材確保の策として、大阪府は研修をするとのことでありますが、研修するだけでコロナ病床を十分に担うことができる人材を確保できるのか
研修するだけで、果たして本当に人材確保ができるのか、現場から不安なお声をお聞きしておりますし、先ほどお伝えしましたように、医師会の会長が、第四波においては、昨年を上回る対応容量を各医療機関に引き受けていただいたが、これを超える病床、人材の確保は困難であると発言をなされています。我々自民党は、医師会の皆さん、そして茂松会長と意見交換をさせていただくとともに、医療機関への聞き取りを行い、確保は難しいとの切実なお声をお聞きしました。
コロナ後遺症に悩んでおられる方々がどれぐらいいるのかということと、それをつなぐ医療機関、どういったところが対応していただけるのか、しっかりとまずは把握をしていただきまして、そういった相談にしっかりと対応していただければというふうに思っておりますんで、よろしくお願いいたします。」
※知事質問の通告は、大阪府の病床確保計画について
石川たえ議員(日本共産党)
「第四波、病床確保についてお聞きをいたします。
第四波の教訓は病床の不足に尽きる、こう言われておきながら、六月十四日からまた実運用病床数が減らされています。これでは、第四波の教訓は生かされていないというふうに思います。
大阪の専門家の皆さんは、デルタ株が大阪で検出され始めているので第五波が来る可能性は非常に高いというふうに指摘もされているわけです。こういうデルタ株による感染拡大の状況をしっかりつかんで、試算も行って早い対応をしていく、これが今大阪に求められることだと思います。
一般医療に使いたいという医療機関の申出は、私も理解できます。しかし、結局、空床確保の補助金があまりにも少なくて経営困難になるから、このまま空けておけないから使わせてほしいという思いも、もう一方であるわけです。一般医療をしっかり守っていくということと併せて、デルタ株に向かって病床を確保していかないといけないときに、どうして実運用数を今減らしていく判断をしたのか、
大阪の救急医療、一般医療を守っていかないといけないというのは、私も十分分かりますし、今までそこをやめといてと言っていたわけですから、そこを再開するというのも非常に府民にとっては大事なことだというふうに思います。
一般の医療、救急医療を守りながら、かつデルタ株に向かってどうやって確保しとくのかという判断を私はしないといけないんじゃないかなというふうに思っています。」
「病床確保の問題について、併せてお聞きをします。
呼吸器や感染症の専門医が偏在している、こういうふうに感染症対策協議会でも指摘がされておりました。中等症・重症一体型病院を新たにつくり機能分化される、こういうふうに聞いておりますが、医師が偏在している中で、認可病床数やICUの病床数などから、頭割りでこの病床確保を求めるのかどうか
結局、一定割合の病床数を医療機関に要請するということだというふうに思います。ただ、これまでも初めの届出計画よりも実際受け入れてみて、僕とこちょっと無理やったということで減らしたい、こういうふうに言われていた医療機関に、そのままの数で届け出てくださいというふうに圧力もかかっているというお話も聞いています。
第四波で運用された365床というのは、重症者があふれ、やむを得ず重症に転用した病床を含めた数です。機能分化を含む病床確保要請も、この非常事態での受入れ数365床というのを軸にして500床に向かって行われるわけです。これでは、医療機関の負担は非常に大きいというふうに思っています。医療機関からは、もっと現場に沿ったやり方ができないのかという声であるとか、夏場、冬場はコロナの前からベッドが満床のときもあると、すぐに重症を受入れできない場合も出てくる、こういう声もあるわけです。
強制ではない、積み上げやというふうに言われているわけですけれども、この目標に向かって、医療機関にこれ以上、必要以上に迫るというのが、これまでのやり方だったと思いますので、とにかく頭割りのように要請して、その数を必ず確保させるというやり方は改めるべき
結局、一方的に押しつけられたという思いが医療機関の側に残っていたら、せっかく目標を掲げても、これに向かって、じゃ協力しようというふうにはなかなかなっていかないと思うので、幾つかの医療機関ではなくて、全ての医療機関としっかり膝を突き合わせて、本当に確保できるのかどうかということも含めて、できないならできないで次の手を打たなあかんわけですから、できないけどやってくださいじゃなくて、できないならできないということも含めてきちんと意思疎通をして、コロナに医療機関と行政が一体となって取り組んでいるというふうに医療機関さんが思えるような取組をぜひしていただきたいというふうに思います。
そのためにも、通常医療をしっかり守っていくことと併せて、やはりコロナをしっかり受け入れていただいている医療機関が減収にならないように、減収補填をしていくということも、病床確保に併せて求めておきたいというふうに思います。」
「次に、看護師と医師の確保についてお聞きをします。
日本看護協会の昨年度の看護師離職率調査、これが先日発表されました。これでは、前年比で11.5%も離職者が増えています。コロナが影響した可能性もある、こういうふうにも言われています。今年三月末の退職者が例年よりも多い、こういう医療機関ももう既に生まれております。先ほども言いましたけれども、第四波で重症365床運用、これはそれこそ医療機関の必死の努力、医療従事者の必死の努力で確保した数なわけです。その上にまだ追加確保を頼むのに、災害級に備えて看護師はじめ医療スタッフ確保に一体大阪府はどう取り組むのか」
「次、検査拡大についてお聞きをいたします。
今の府の方針は、デルタ株スクリーニング目標が40%というふうになっています。スクリーニング検査は早い段階で行うことが変異株の兆候をつかむ鍵になります。先日の一般質問での答弁で、直近、60%スクリーニングと言われました。ならば、せめて目標の水準をここに保つべきだというふうに思いますが、なぜスクリーニング目標が40%なのか
スクリーニングって早い段階でやって兆候つかまなあかんのに、ピークになってから40%やりましたよというのは遅過ぎるんですよ、これ。全然お話にならない、兆候つかめて当たり前ですよ、置き換わっているんですから。そうじゃなくって、もっと早い段階でスクリーニングはやるべきだというふうに思います。
私は妥当じゃないと思いますので、全件(スクリーニング)検査をお願いしておきたいと思います。
(今、大阪で)積極的にモニタリング検査も今行われていません。大規模検査も行われていません。どうやって市中にいてる無症状者を発見するのか
一体いつまでも疑陽性、検査負荷と言い続けるのかなというふうに耳を疑っています。政府の会議でPCRの精度は96%以上だと、こういう報告もされています。検査機器も今はもう次々開発をされていて、検査拡大できる土台は十分あるのに、結局、私これ去年の十二月にも聞きましたし、ずっと同じ答弁が繰り返されて検査に踏み出さない。本当にこれで府民の命が守れるのかと疑問を持ちます。
第五波に備えることは大切だが、第五波を起こさない、第五波の高さを低くするために一番力を注いでください、こういうふうに言われる医師の方もおられます。
直ちに無症状者を発見する大幅検査に踏み出していただくよう求めておきたいと思います。」
「最後に、高齢者等施設での集団定期検査についてお聞きいたします。
クラスター防止に一定の効果がある、こう評価をされていますが受検率は50%です。
第五波でクラスター発生が再燃しないように、一気に受検率を増やすことが必要だと思います
第五波がいつ来るか分からないという本当に緊迫した状況が今の時点だというふうに思っております。」
※知事質問の通告は、病床確保の方法についてと検査拡大について
山田けんた議員(民主ネット)
「吉村知事がゲームチェンジャーと言うなど、私は、今後ワクチンを打っているから対策しなくても大丈夫なんじゃないかと考える人が増えるんじゃないかということを心配しています。コロナ対策が進んでも、マスクや人流の抑制が必要だと私は考えます。今後ワクチン接種が進んだとしても、これまでどおりの感染予防策が引き続き必要だと考えます
転換点になると考えていたけれども、ゲームチェンジャーになるか、危うくなってきているということかと思います
大阪府内においてもスクリーニングの結果、6月23日時点でもう64件のデルタ株が入ってきています。海外からの渡航者が増加することが予想されている中で、変異株の流入による感染拡大の防止のために国が実施している空港での水際対策について、府はどのように認識をされているか」
「次に、疫学調査の質問をさせていただきます。
国や府のこういう怠慢でウイルスが海外からどんどん入ってきます。そして感染します。その感染を広げないためには、感染者を特定して隔離をするしかない。検査拡大と追跡、いわゆる疫学調査が重要です。検査は、私の地元枚方市内では、全ての病院及び診療所のうち二割の医療機関がコロナ診療医療機関として指定されていますが、府が公表することに了承していただいている医療機関はそのうちの約二割弱、約十か所しかございません。もっと確実に簡単に検査にアクセスできる体制が必要です。
第四波の中、積極的疫学調査に関する保健所業務は逼迫していたと推察されますが、このように感染者が増加している状況において、保健所はどのような体制で疫学調査を実施してきたのでしょうか。また、今後、感染者が増加した場合に備え、保健所の疫学調査の体制について強化を図る必要があると考えます」
「次に、病床確保についてお伺いいたします。
このままでは、感染者は増加します。疫学調査は追いつきません。治療体制は大丈夫か
吉村知事は、二月には、三月、四月の感染拡大を予想されていました。部長もたしかそうだったかと思いますけれども。にもかかわらず、緊急事態宣言解除を要請しまして、3月1日に解除されました。その後、感染拡大の波を大きくしてしまいました。もともと来るやろうと言われていたのに、解除して最大化させてしまった、すごく高くしてしまった。府の職員さんも一杯飲みに行った。そんな状況です。にもかかわらず、確保病床もフェーズ四の数からフェーズ三に減らしてしまいました。結果、医療崩壊、3月20日から6月20日まで1430人の方が、そして5月だけで859人の方がお亡くなりになられました。そして、いまだに感染が蔓延しています。
多くの府民が、府の要請に応え自粛をしてくださっています。その努力をいっときの緩和で台なしにしてしまった。そして、また今これが行われています。
病床は間違いなく足りませんし、病床確保計画に書いてある様々なロジックには問題があります。
間に合うみたいなこと言ってますけれども、もうロジックが、式がめちゃくちゃです。ちゃんと見てるんですか、こういう式を。みんな文系なんですか、保健師さんとか多分理系の方もいらっしゃると思いますけれども、ちゃんとした文書というか根拠をもって政策を進めていただきたいと思います。病床は足りません。」
※知事質問の通告は、病床確保計画についてと検疫について
おきた浩之君(大阪維新の会)
委員長、動議。
質問終結の動議を求めます。
本日、これまでの各委員の質問に対して、所管部局の理事者の皆様は誠実かつ的確に御答弁いただいており、付託議案もない閉会中審査において、これ以上の質問の余地はないものと考えます。
よって、所管部局に対する質問が終結した今、これ以上、本委員会における質問を続行する必要性はないものと思料いたしますので、ただいまをもって、本委員会の質問を終結するよう動議を提出いたします。
委員長:うらべ走馬議員
「ただいまの動議に関しましては、一度お預かりをさせていただきまして、代表者会議にて議論をさせていただければと思います。この際、暫時休憩いたします。」
休憩後、
原田りょう議員
「質問の継続を求める動議を提案いたします。
大阪維新の会から、知事質問をさせないような質問の終結を求める動議が出ましたが、全く理解できません。大阪維新の会は、本日の委員会開催についても反対をされ、開催が決定してからも、そもそも委員会の質問もされずに、新型コロナウイルスに関して議論を尽くすことに大変消極的であります。大阪維新の会は、本日の委員会の質疑だけで十分とのことでありますが、質問した三会派が本日の質疑だけでは不十分であるとして知事質問を求めたわけであります。
さらに言いますと、6月9日の代表者会議におきまして、知事質問の取扱いにおいては、知事質問の求めがあれば開催をするということで代表者間で合意をされているにもかかわらず、求めがある中で終結をすることは代表者会議の合意を覆す暴挙であります。なお、この際には、大阪維新の会の代表者であるおきた委員も、知事質問の取扱いについて、開催するならそれで構わないとの発言をなされておりました。全く理解ができません。
今回、担当部局だけとの議論だけでは答弁が不十分であり、決定権者である知事しか対応できない内容があり、三会派が求めているにもかかわらず、今回、委員会の終結を数の力で行われようとしていることは、民主主義の危機であります。また、知事の執行の在り方を監視する議会自身が、その議論を妨害しようとすることは、大阪府議会が機能不全に陥っておりますし、二元代表制の危機と言わざるを得ません。
以上のことから、委員会における質問の継続を求める動議を提出いたします」
横山英幸議員(大阪維新の会)
「会派を代表して意見の表明をいたします。
また、今後、デルタ株の蔓延や人流拡大に伴う第五波の襲来など、懸念される事案も多いところです。病床確保や迅速で円滑な医療を提供できる医療体制の確立に向けても引き続き御尽力いただくようお願いいたします。」
原田りょう議員
「6月9日に改定した大阪府病床確保計画では、災害級非常事態として、重症病床500床、軽症中等症病床3000床の目標を設定されておりますが、病床を用意しても人手が足りないという声を聞いています。
その人材の確保についてお尋ねしたところ、各医療機関において重症患者への対応ができる看護師の拡充を図るため、重症対応看護師研修を実施し、医療機関における人材の育成を支援していくとの御答弁でありました。本当にこのような支援だけで大丈夫なのか、甚だ疑問であります。
また、3500床の目標が達成できない場合どうするつもりなのかという質問に対しても、明確な答えがありませんでした。知事にもお聞きしたかったことですけれども、この件に明確な答えがありませんでした。第五波に向けた医療体制の充実について強く要望いたします。」
「最後に、質問の終結を求める動議が出たことについて申し述べます。
大阪維新の会は、本日の委員会開催についても反対をされ、開催が決定してからも、そもそも委員会の質問もされずに、新型コロナウイルスに関して議論を尽くすことに大変消極的であります。大阪維新の会さんは、本日の委員会の質疑だけで十分とのことでありますが、質問した三会派が本日の質疑だけでは不十分であるとして知事質問を求めましたし、先ほどの動議についての採決に関しても、大阪維新の会さん以外の自民党、公明党、共産党、民主ネットさんが引き続き質問の継続を求めたわけですけれども、それについても反対をされて、知事質問が結果としてできなくなりました。
知事への質問潰しとも捉えられかねないと私は思います。今回、担当部局だけとの議論だけでは答弁が不十分であることは明らかであり、決定権者である知事しか対応できない内容もあります。大阪維新の会以外の会派、自民党、公明党、共産党、民主ネットの会派が質問の継続を求めているにもかかわらず、今回、委員会の終結を数の力で行われたことは、民主主義の危機であり、大変残念であります。
また、知事の執行の在り方を監視する議会自身がその議論を妨害しようとすることは、大阪府議会が機能不全に陥っていると言わざるを得ませんし、二元代表制の危機と言えます。
議事録も残るオープンな場で我々は議論をしたいということを提案しましたが、そういった閉鎖的な場で求めればいいという声は非常に残念でありました。
知事質問ができなかったことは非常に残念であります。」
石川たえ議員
「新型コロナ対策についての意見を申し上げます。
第五波が来る可能性が非常に高い中で、対策をいかに早く取るかということが今非常に重要です。
デルタ株の兆候をしっかりと把握し、第五波に備えた病床確保を進めておかなくてはいけません。
第五波の波を少しでも低く抑えるために、無症状者発見の大幅検査に直ちに取り組むことをはじめ、高齢者施設等での集団定期検査を保育園や学校教育施設にまで広げ、クラスター防止に努めることなどが今すぐ必要であると思いますので、医療機関をはじめ福祉施設や学校施設ともしっかり連携を取って、第五波対策を直ちに強化することを求めておきます。」
「三会派が知事質問の要求をいたしました。しかし、質問終結動議の可決によって質問の機会がなくなったことを本当に残念だというふうに思っています。コロナの対策は、緊急かつ特別に重大な事案であるというふうにも考えます。深刻なコロナ危機が続く下で、二元代表制の中で大阪のコロナ対策について知事と議論を行い、行政運営のチェック機能を果たすことは、議会の重要な役割です。それを議会が自ら放棄するのは、議会の自殺行為にほかなりません。大阪府議会の歴史に重大な汚点を残したと厳しく指摘をしておきたいと思います。」
山田けんた議員
「閉会中審査が実施され、現在の新型コロナウイルス対策に係る様々な課題が明らかとなり、我が会派からも提案、要望を多数させていただきました。質問された他会派の皆様の質問も非常に有意義であり、多様な府民の意見を府政に取り込む場となりました。委員会開会に尽力、合意された全ての委員の皆さん、関係職員の皆様に敬意を表します。
しかし、課題が明らかになったものの、知事への質問に対し、その知事と同一政党に所属する会派による閉会動議により議論が打切りとなったことは、非常に残念です。議論が十分に深まりませんでした。
当会派からは、第五波やオリンピックに際して、海外からのウイルス持込みに大阪府としてどう対処していくか、府民をどう守っていくか、現在の病床確保計画の問題についてしっかりと認識を合わせ、現在の医療資源でのマネジメントの見直しや、大阪府医師会、茂松会長からも要望があった公営によるコロナ専門病院の設置等について検討する必要があったと考えます。
これらの事項は、大阪府民の皆様にとって非常に関心の高い、そして命、健康を守るために非常に重要な議案であったと考えます。
これまでの行政任せのコロナ対策は医療崩壊を起こし、事実、日本一の死者を出しました。このことを私たち議員はしっかりと反省するべきです。」
以上、大阪府議会 健康福祉常任委員会 06月24日-01号 議事録より抜粋