吉村知事は子ども医療費の助成強化に反対。維新の会の「子育て重視」は本当か

#くらし
  • URLをコピーしました!

大阪維新の会は、子育て世帯への行政サービスを充実・優先することを政策として強調しています。
しかし吉村知事は、大阪府による医療費窓口負担の無償化を拒否し続けています。

・就学前までの医療費自己負担のない都道府県は、令和3年4月1日時点で12都県あります。

・大阪府の「子供の医療費助成制度」の補助対象年齢は就学前までで、小学生以上は市町村が独自に実施しています。そのため、事業費の多くを市町村が負担しています。

・大阪府で、子ども医療費の窓口負担500円を完全無料化にするために必要な予算は、およそ11億円です。

目次

情報源

大阪府議会議事録 令和4年 9月定例会本会議(1)  10月07日-06号

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/prefosaka/SpMinuteView.html?power_user=false&tenant_id=315&council_id=2160&schedule_id=7&view_years=2022

◆(石川たえ議員) 暮らし応援の一環として、子育て世代を支えることも重要です。
 大阪府の調査では、子育て世代の多くは、収入が少なくて十分な子育てができない、こう回答をされています。
現在、34市町村が、乳幼児医療助成を18歳までに年齢拡充していますが、一医療機関一回500円、月2500円上限の窓口負担がいまだにあります。子どもが複数人いる、複数の診療科にかかるとなれば、瞬く間に金額は膨れ上がり、3人も病院へ行くと厳しい、医療費を抑えるために親は受診を控えている、こういう生活への支障が出ています。
 既に、東京都は、就学前まで無料、沖縄県は中学校卒業まで、都県の責任で無料としているわけです。大阪府でも窓口負担ゼロ、府として18歳まで年齢拡充すべきだと思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 乳幼児医療費助成制度につきましては、平成27年度から新子育て支援交付金を創設をし、そして子どもの医療費助成を含む市町村の子育て支援施策の充実につながるように、市町村の支援を行っているところです。府としましては、引き続き、乳幼児医療費にかかるセーフティーネットの部分を府の役割として果たすとともに、同交付金により、市町村自身の子育て支援施策をバックアップしていきます。
 なお、窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保や受益と負担の適正化の観点から、困難だと考えます。

◆(石川たえ議員) 今、言われました新子育て交付金は、成果配分枠は約17億円です。この17億円が、市町村の子ども医療費助成などに充てられています。
 2021年度、市町村の子ども医療費助成制度の負担は、就学前だけで約25億円となっています。新子育て交付金の17億円では、就学前まですら、今、賄えていない、これが実情です。その上、市町村は、それぞれの独自の努力で18歳まで年齢を拡充しているわけです。
 群馬県では、子ども医療費無料の効果について、県議会で議論がされました。当時の福祉部長は、虫歯治癒率が全国平均よりも5%から10%上回って向上し、ひいては医療費の抑制につながっている、いわゆるコンビニ受診も懸念したが、時間外受診は減少傾向にあるというふうに語っておられました。
 子ども医療費の窓口負担をなくし、完全無料化する、18歳まで年齢拡充することは、府民の健康を維持し、医療抑制につながる、まさに持続可能な制度となると思います。
 窓口負担をなくすのにかかる大阪府の負担は、約11億円です。できない金額ではありません。今すぐ踏み出し、子育てを守っていくべきだと思いますが、再度、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保、また受益と負担の適正化の観点から、困難であるというふうに思います。

◆(石川たえ議員) 子ども医療費の完全無償化は、子育て安心の保障となります。大阪府として、窓口負担なし、十八歳までの年齢拡充を強く求めて、次の質問に行きたいと思います。

大阪府議会議事録 令和4年 9月定例会 (2)  健康福祉常任委員会  11月17日-05号

◆(石川たえ議員) 次に、子どもの医療費助成についてお聞きをいたします。新子育て交付金は、優先配分枠も、そして成果配分枠も、制度創設以来、金額が全く変わっておりません。乳幼児医療助成は依然として就学前のままです。大阪府の子どもへの医療助成は、市町村の取組と比べても非常に遅れているというふうに感じております。委員会では、窓口の自己負担ゼロについて、受益と負担の適正化、こう言って拒否をされました。知事も同じ認識でしょうか。

◎知事(吉村洋文) 先般、九月議会の一般質問においても石川委員にお答えしたところでありますけれども、窓口負担の無償化につきましては、制度の持続可能性の確保、それから、やはり受益と負担の適正化の観点から困難であろうというふうに考えています。

◆(石川たえ委員) 9月にもお答えいただいているんですけど、受益、恩恵を受けるから負担するのが当たり前の原則のように、この間繰り返されていますけれども、医療にかからない子どもというのはほとんどいません。子どもが病院に行く、医療にかかるというのは受益ではない、私はこう思います。子どもの健康育成に行政は責任を果たすべきです。医療を受けることを受益としてしまえば、住民の福祉増進に寄与する自治体の役割は果たせません。ましてや、所得の高い世帯の500円と低い世帯の500円は負担の重みが違います。年収200万円未満で500円を節約し、子どもの誕生日すら祝えず、懸命に頑張って生活している世帯にとっては、非常に大きな金額にこの500円はなってまいります。満足に医療にかかれないなど、親の所得によって生育を左右されることがあってはいけない、私はこう思います。子どもは全て平等に医療を受けられるようにすることが、行政に求められる施策です。生活が苦しいと悲鳴を上げている世帯にも、受益と負担の適正化だといって自己負担をさせる、行政としてこの姿勢が本当に正しいんでしょうか。
 既に就学前、自己負担なしの県は、令和3年4月1日時点で12都県あります。他県は踏み出しているにもかかわらず、制度の持続化、受益と負担の適正化などといって自己負担ゼロに踏み出す姿勢すらない、これで本当にいいんでしょうか。自己負担ゼロにすることこそが、公平に子どもたちが医療を受けられる保障になるかと思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 乳幼児医療に関して、府としてセーフティーネット部分の役割を果たし、また、市町村において、この拡充が進んでいるところでもあります。窓口負担の無償化については、制度の持続的な維持可能性の確保、それから、受益と負担の適正化の観点から、困難であろうというふうに考えております。

◆(石川たえ委員) 受益を福祉や社会保障に持ち込むべきではありません。年齢拡充も喫緊の課題だというふうに思います。就学すれば、医療機関受診の機会は未就学期に比べると減る、こういうふうに言われていますけれども、貧困の広がりの中で、受診抑制は就学後も今広がっていると思います。全国保険医団体連合会が行っている学校健診後の未受診調査では、調査開始の2018年度に比べて、調査対象の歯科、眼科、耳鼻科、内科の全科において未受診率が増加していることが明らかになっています。未受診の背景に、経済的困難、独り親家庭などがあり、健診後の受診につながらない児童生徒は、家庭に何らかの課題や問題を抱えていることは明らかです。市町村が新子育て交付金成果配分枠の約90%を子ども医療費助成に充てているという点から見ても、お金の心配なく医療を子どもに受けさせてやりたいという親の願いは強いです。成果配分枠の増額、乳幼児医療助成の年齢拡充、自己負担ゼロこそが貧困解決と子育て支援につながると思いますが、知事の見解を求めます。

◎知事(吉村洋文) 広域自治体であります大阪府と、それから住民サービスの充実化を徹底して図っていくべき市町村の役割分担を踏まえまして、子どもたちが安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいくことが重要だと思っています。府としては、乳幼児医療費に係るセーフティーネットの部分の役割を果たすとともに、広域自治体として府域全体の子育て支援施策の底上げを図るために、新子育て支援交付金により、地域の実情に合わせた施策の充実に資するように市町村を支援しているところであります。また、市町村各自が努力をしながら、子ども乳幼児医療費助成の拡充については常に広げていっている現状だというふうに思っております。

◆(石川たえ委員) 大阪府がセーフティーネットの役割だけを果たしていればいいというふうに私は思いません。

 子どもの権利条約第二十七条では、保護者の力のみで心身の健やかな成長が望めない場合は、国から金銭や教育の支援を受ける権利を持ちますと、医療を受ける権利が保障されています。

 憲法二十五条は、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない、こう記されております。

 国や地方自治体は、これを遵守しなければいけません。それを横に置いて、子どもの医療費をはじめ、社会保障制度に受益と負担を持ち込むことは絶対に許されません。

 厚生労働省のホームページには、社会保障、こういうふうに検索をすると、社会保障制度とは、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットであり、子どもから子育て世代、お年寄りまで、全ての人々の生活を生涯にわたって支えるものだ、こういうふうに書かれています。受益と負担などと言って背を向ける姿勢そのものを正すべきだと強く申し上げておきます。

日本維新の会 2023 統一地方選挙マニフェスト

全ての人に手厚い福祉を届けようとすることは、制度そのものの崩壊に繋がりかねない。日本維新の会は、限りある財源の中で、真に必要な人に確実に福祉の手が行き届くための選択と集中によって、力強い福祉政策の実現を目指す。」

https://o-ishin.jp/about/touitsuchihou/

大阪府保険医協会

「完全無料を謳い、全ての人に手厚い福祉を届けようとすることは、財源に限りがある現実を考えると、制度の崩壊に繋がりかねない。

維新の会にとって「選択と集中」の考え方は、高齢者のみならず乳幼児に関しても例外ではありません。

#くらし

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてくださいませ。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次