大阪市による市立高校22校の大阪府への一括無償譲渡は、その性急な手続き内容に法律違反の疑いがあり、住民訴訟に発展しています。大阪高裁の控訴審では、松井市長の決定に“地方教育行政法違反”という新たな論点が浮上しており、司法の判断に注目が集まっています。
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大阪市の高校無償譲渡が控訴審で新たな論点浮上。松井市長の独断は地方教育行政法違反か〈幸田泉 2022/12/1〉
大阪市が市立の高校22校を大阪府に一括して無償譲渡した問題は住民訴訟に発展しているが、大阪高裁の控訴審で「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)違反という新たな論点が浮上した。大阪市立の高校群を大阪府に移管して府立高校とし、市公有財産台帳価格で約1500億円にのぼる土地、建物などを府に無償譲渡するにあたり、大阪市は地方教育行政法上の手続きを踏んでいない。原告側はこの点が違法だとする元大阪市教育委員の矢野裕俊・武庫川女子大教授の意見書を、11月初め裁判所に提出した。大阪高裁の判断が注目される。