維新の会所属で元生駒市長である山下まこと奈良県知事氏は、同市の財政が悪くなったように錯覚させるグラフを作成し、生駒市長選の期間中に自身のTwitterで拡散。現職に挑む維新候補者が有利になるよう働きかけました。
実際には現在の生駒市の財政は山下市長時代よりも改善され、生駒市HPにも「収支は黒字で将来負担がない」と書かれています。
解説
「経常収支比率が、現職で悪くなった」と山下氏はあえて印象操作をしたのではないかという疑惑が出ています。
(現職と維新候補の一騎打ちの2023年市長選にて)
というのも、山下市長に都合の良い数字を使って比較をしているのです。
山下市長時代 … 全て臨財債※を「含む」経常収支比率 (※臨時財政対策債)
現職小紫市長時代… なぜか令和2年度だけ、臨財債を「除く」経常収支比率。
さらに、経常収支比率が良くなった令和3年度は記載せず。
自治体の財政自由度を測る「経常収支比率」。
基本的な自治体運営に必要な、支出の割合を示します。(エンゲル係数と同じく低いほうが良く、100%に近ければ、自由に使えるお金が少ない)
経常収支比率は、自治体の財政状況の成績を見る際、よく使われる数字です。
山下氏のTwitter投稿は多くの批判を浴び
「令和2年度の数値のみ数値を誤って拾い上げた」
と山下氏は謝罪し、グラフは訂正されました。
しかし、生駒市の決算総括表は、もう何年も同じフォーマット。
直近のみ誤るなどあり得るでしょうか。
しかも、臨財債を除くか、含むか。
それによる数値がまったく別物だと、元市長を経験した山下氏が、知らないはずがないのです。
臨財債とは、国が交付する地方交付税の不足分を、県がまかなう県債のことで、実質的には地方交付税と言えるとされています。当然、通常使われる経常収支比率は、臨財債を含む数値です。
つまり「意図的に、別の数字をグラフに載せ、生駒市の財政が悪くなったように見せかけた」と判断せざるを得ません。
また、山下氏の訂正ツィートでも、令和3年の実績が反映されていません。もしかして、山下市政の実績(85.8%)より、令和3年度実績が良い数値(84.4%)だからでは…?
維新の市長候補を応援するために「維新の知事がデータを意図的に改ざんした」と言わざるを得ません。
情報源
・R3年も含めたグラフ(黒線グラフが、投稿削除された山下氏の当初グラフ。赤線が正しいグラフ)
【山下氏Twitter投稿】訂正後の山下氏のグラフ
生駒市の財政は黒字で将来負担がない
生駒市令和3年度決算(画像は、決算概要より)〈生駒市HP〉
https://www.city.ikoma.lg.jp/0000030805.html
ここ何年も同じ場所にある情報を取り違える不自然
・生駒市 決算総括表(令和3年)より〈生駒市HP〉
(赤い四角部分。上が「臨在債あり」、下が「臨在債を除く」数値)
https://www.city.ikoma.lg.jp/cmsfiles/contents/0000030/30805/kessan3-5.pdf
総務省HPでも臨財債は経常一般財源扱い。臨財債を「含む」経常収支比率で説明
・「財政構造の弾力性 財政の行政需要への対応能力はどうなっているのでしょうか?」〈総務省HP〉
(地方公共団体の)令和元年度の経常収支比率は、前年度より0.4ポイント上昇して93.4%となり、16年連続で90%を上回っています。
https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/r03data/2021data/r03020401.html