2021年10月の衆議院選挙で、公示前に選挙運動を行ったとして公職選挙法違反の罪に問われ、1審・2審とも罰金30万円の有罪判決を受けた、元衆議院議員の前川清成被告は判決を不服として最高裁に上告していたが、11月20日、最高裁は上告を棄却。これにより、前川被告の有罪が確定することになる。
維新ペディアの記事をご覧いただきたい。
以下、MBS NEWSから引用する。
前川被告は2021年10月の衆院選で、日本維新の会から奈良1区で立候補、比例復活で当選。同被告は、衆院選公示の5日前、奈良市在住の母校・関西大学の卒業生に宛て、以下などが入った封書を送った。
・自らと日本維新の会への投票を呼びかける選挙ハガキ(宛名は空欄)
・そのハガキに選挙区内に住む知人の住所・氏名を書き(いわゆる宛名書き)、推薦人欄に署名をして被告の事務所に返送することを依頼する文書および返信用封筒
前川被告は、関大卒業生の氏名などが記載された交友名簿から、奈良県在住者を抽出し電子データ化した独自の名簿を作成しており、今回の封書の郵送も、その名簿を活用して行われた。 奈良地検はこの封書郵送を「公示前の選挙運動にあたる」と判断、前川被告を公職選挙法違反の罪で起訴した。
前川被告は「選挙運動の準備行為だった」と無罪を主張。 しかし、1審の奈良地裁は今年1月、「関大の交友というだけで、選挙運動を支援してくれることを期待しうる者だとは言い難い」「選挙ハガキの宛名書きなどへの協力依頼は名目にすぎず、実質的には、“封書を受け取った人に対し、自らへの投票を呼びかける”という効果を目的としていた」として、前川被告の行為が選挙運動にあてはまると判断。罰金30万円の有罪判決を言い渡した。
前川被告は判決を不服として控訴したが、今年7月、大阪高裁も1審判決を支持。 「前川被告の名簿の登載者は、その大部分が被告との間に『同窓生である』ということ以外に、ほとんど人的関係を有しない人たちの集団であるというべき」「選挙ハガキの宛名書きを含む推薦依頼は、(封書を受け取ってその依頼を受けた人自身への)実質的な投票依頼であり、今回の封書郵送は選挙運動に該当する」として、控訴を棄却。
前川被告は、2審判決を不服として最高裁判所に上告。一方で「私が裁判を抱えていることで、奈良1区での日本維新の会の選挙準備が遅れ、勝てるはずの小選挙区で議席を落とすことがあってはならない」などとして、今年10月に議員を辞職した。
そして11月20日、最高裁は1審・2審判決を支持し、「2審判決に、憲法違反や判例違反はない」として、上告を棄却した。これにより、前川被告の公選法違反での有罪判決(罰金30万円)が確定することになる。
罰金刑が確定すれば、公民権(選挙権・被選挙権)も5年間停止となる。
裁判所は、「母校の卒業生といえど、それだけでは「支援者」とは言えない」「そうした人たちに選挙ハガキの宛名書きなどを依頼することは❝不特定多数の有権者への投票依頼❞と実質的に変わらない」という判断を一貫して示した形となった。今後の各陣営の選挙運動にも影響を与えそうだと記事は結んでいる。