「すべての情報を公開する」宣言の山下奈良県知事、いきなり「記録も録音も禁止」。利権も絡む公共事業執行停止のプロセスが情報非公開に

#選挙・公約
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就任式で「情報公開条例、個人情報保護条例で非開示とされるもの以外、山下県政はすべて情報公開」する、と語っていた山下まこと奈良県知事(日本維新の会所属)。ところが就任直後に「記録や録音はしないように」と事業担当者に指示していたことが分かりました。

選挙公約に基づき、
「全部中止」となったのは国道整備、国体開催用施設整備など12事業。
「一部中止」となったのは、県立工科大学新設、リニア新駅鉄道整備、私鉄路線の移設・駅の高架化、大規模広域防災拠点の整備などの17事業です。

まさに公共工事のオンパレードで、大きな利権が絡む可能性があります。

「私の方針に賛同した場合、議事録を見て『新知事に迎合した』といううわさが立つかもしれない」「職員の本音を引き出し、より適切な結論を得るため」というなら、職員名を出さずに記録を残せばいいだけのことです。

事業を推進してきた前知事も議員も、みな有権者から選ばれた人たちです。これらの事業をなぜ中止することになったのか、県民には知る権利があるはずです。利権も大きく絡む改革だからこそ、後世にわたって検証できるよう、山下知事が率先して情報公開すべきでしょう。

目次

<下>文書作成 姿勢に疑問〈読売新聞 2023/8/11〉

「記録や録音はしないように」。約30項目にわたる事業を見直した5月の査定会議で、山下知事は事業担当者にそう指示した。

その一例が、橿原市で計画されていた陸上競技場の建設中止だ。2031年の県内開催が内定している国民スポーツ大会(現・国体)に備えた事業だが、知事は既存の奈良市鴻ノ池陸上競技場(ロートフィールド奈良)に加え、大阪市のヤンマースタジアム長居の活用を示唆する。
施設の整備費は原則、市町村が負担し、県が一定額を補助する仕組みだ。だが、県外の競技場を使う場合は、県が全額負担する可能性が出てくるという。大阪市の資産に、県税を投じる点について、県幹部は「議論を煮詰めたかというと……」と歯切れが悪い。

5月8日の就任式で、知事は「県政情報は原則、公開とする」と今後の方針を述べた。その言葉通り、月2度の定例記者会見を動画で配信するほか、報道陣の取材の要望にも積極的に応じている。

反面、大なたを振るった事業見直しでは、十分な情報が示されていない。県行政文書管理規則は「合理的に跡付け、または検証できるよう、事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない」と定めるが、その趣旨にもそぐわない。
知事は「前知事の下で働いてきた職員が、私の方針に賛同した場合、議事録を見て『新知事に迎合した』といううわさが立つかもしれない」と説明。「職員の本音を引き出し、より適切な結論を得るためにも、記録を残さないことを選択した」と理解を求める。

ただ、庁内には「言行不一致だ」と冷ややかにみる向きもある。県議の一人は「検証できる文書を残さなければ、トップが 恣意的に県政を動かすこともあり得る」と、独断と受け取られかねない知事の姿勢に疑問を呈した。

〈読売新聞 2023/8/11〉
読売新聞オンライン
<下>文書作成 姿勢に疑問 【読売新聞】 「記録や録音はしないように」。約30項目にわたる事業を見直した5月の査定会議で、山下知事は事業担当者にそう指示した。 国の予算措置を含め、総事業費...

山下知事 令和5年5月8日就任式あいさつ

情報公開
 透明性に関連して、山下県政においては、県政情報は原則公開とします。情報公開条例、個人情報保護条例で非開示とされるもの以外はすべて公開します。非開示事由の解釈も厳格にします。そして、情報公開請求に対して受け身に対処するだけなく、県から積極的に県民に情報を提供していきます。

〈奈良県HPより〉

奈良県が公共事業「中止連発」で4730億円削減?「そこまでやって大丈夫?」の声に維新・山下知事が回答〈ABEMA Times 2023/8/9〉

「実施予定だった29事業の全部または一部を中止することで将来的におよそ4730億円の予算削減につなげる」

山下知事によって「全部中止」となったのは国道整備、国体開催用施設整備など12事業。「一部中止」となったのは、県立工科大学新設、リニア新駅鉄道整備、私鉄路線の移設・駅の高架化、大規模広域防災拠点の整備などの17事業だ。

━━中でも注目されているのが県立工科大学の新設だ。用地買収も始まっていて、事業として走り出していた計画を止めた理由は?

まず、大学は学生が県をまたいで動くため、役割を担うのは国と私学だ。新設しようとしていた県立工科大学には「若者の県外流出防止」「優秀な人材育成」という狙いがあったが、そもそも県内には工科系の大学があるし、文系の県立大学の卒業生については、1割しか県内企業に就職していない。つまり、目的達成のためには「大学設置」よりも「魅力的な企業の誘致、あるいは既存の県内企業の魅力を高めること」こそが効果的なのだ。

━━国体開催用施設整備の「全部中止」についても聞きたい。国体の主会場として計画が進んでいた橿原市の市長は「いずれの事業も県と市が議会に諮るなど手続きを踏んできた。知事の考えだけで覆すのは疑問。これまでと違ったことをするのであればしっかりと説明をしてほしい」「知事が変わったら今までの議論が一瞬で消えてしまうというのはちょっとおかしいんじゃないか」と発言しているが。

国体に合わせて建物を新しくするのではなく、今の施設が本当に使えなくなった時に、用地の選定から始めた方が、将来世代からは喜ばれるはずだ。また、選挙で知事が変わっても政策が変わらないということであれば、何のために選挙をやったのか分からない。中止する事業は精査した上で私が公約に掲げ、県民が支持した。その通りにやらねば政治への信頼をなくしてしまう。とはいえ、もちろん引き返せない事業は存在し、私も取り組んでいる。

━━一方で、その前に推/し進めてきた議会の議員たちも有権者から選ばれている。ねじれてしまっていることに問題はないのか。 /

最終的な目的は、教育や福祉の充実などだ。その山に登るルートが違うということを、県民・地権者のみなさんには説明した。県立大学の土地の件もそうだが、すぐには理解していただけないと思うが、いずれ成果が出てくれば、私の意図も分かってもらえるんじゃないかと期待している。

〈ABEMA Times 2023/8/9〉
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