2023年6月2日（金）、大阪市議会・市会運営委員会で、“議員定数削減に反対する陳情書”の審査が行われました。
定数削減に反対する陳情書は33件出されましたが、同じ趣旨としてまとめて審査。
大阪維新の会は、陳情者の心配を、“多様な民意が反映できなくなる”“チェック機能が果たせるのか”と二つにまとめたうえで、DXによる議員の仕事の効率化、および、情報発信・収集の手段が多様化しているので市民の意見の吸い上げが悪くなることはないと意見表明しました。この間、1分40秒。
自民党は「継続審査」を求めましたが、維新・公明の多数により、陳情書は「不採択」となりました。
識者からは、議会のありようの根本に関わる選挙制度の話は普通の条例案を扱うのと重みが違うので、学識経験者を招いた公聴会を開くなど慎重に進めるべきという意見が上がっています。
しかし、維新は単独で過半数の議席をもつため、9日にも、定数削減の条例改正案を成立させる方針です。
※自民党が「継続審査」を求めた理由は、4のNHKニュースを参照してください。
維新市議による陳情書に対する意見表明〈市会運営委員会 2023/6/2〉
議員定数削減に関しては陳情がたくさん上がっておりましてですね、これについて意見表明をさせていただきたいと思います。
〈大阪市会 市会運営委員会 2023/6/2〉
陳情者、ご心配されているのは2点かと思います。
定数削減による影響として、1つ目としては、多様な民意が反映できなくなる。
もう1つとしては、チェック機能が果たせるのかと。大きく分けると、この2点かなと思っております。
ご心配についてはですね、我々、議員の方がDXをはじめ、様々な効率化を1人1人が果たすことによって、議員の仕事の効率化というのは高めていけるのかなと思っております。
また、情報発信とか、情報収集の手段も、今までと違うSNSとかホームページ、メール等、多様になっておりまして、意見の吸い上げが今まで以上に悪くなる、減少するというようには考えられません。
決して議員定数を削減することによって、陳情者の方がご心配される、懸念されるようなことが起こることはないと考えております。議員コストの抑制と、議員活動の質の向上は可能であり、 議員定数を減らしても、しっかりと議員活動、議会は機能すると考えております。従いまして、議員定数の削減は進めるべきものであると考えて意見表明とさせていただきます。
過半数の大阪維新が定数削減、あきらめの声も 共産は「議会の自殺」〈朝日新聞2023/6/2〉
自民市議団も「維新に過半数があるので、どうこう言っても決まってしまう」（幹部）としつつ、賛否は保留。今後、削減の対象選挙区を算出する際の国勢調査の時期をめぐって修正を求めていく構えだ。市議団関係者は「（削減は）3年後に国勢調査の結果が出た時にやればいい。維新のやっていることはパフォーマンスだ」と話す。
〈朝日新聞 2023/6/2〉
共産市議団は全面的に反対する。山中智子団長は、「定数が少なくなれば代表できる声も少なくなり、それだけ市民が困ることになる。選挙で民意が示されたからと言って、反対意見が出てこなくなれば議会はいらない。議論もせずに削減するのは議会の自殺行為だ」と語る。
大阪市議会「定数81→70」の維新案 識者「普通の条例案と違う」〈朝日新聞2023/6/2〉
「議会のありようの根本に関わる選挙制度の話は普通の条例案を扱うのと重みが違う。学識経験者を招いた公聴会を開いたり委員会で審議したりするなど、もう少し丁寧に進めるべき話ではないでしょうか。」（行政管理研究センター・岡野裕元研究員）
〈朝日新聞2023/6/2〉
大阪市議会定数削減案“法令違反も”自民指摘 維新対応検討へ〈NHKニュース 2023/6/6〉
次の統一地方選挙で大阪市議会の議員定数を削減するため大阪維新の会がまとめた条例改正案について、自民党は、今後の国勢調査に基づいて選挙区ごとの定数を改めて見直さないと法令に違反するおそれがあると指摘しました。
〈NHKニュース 2023/6/6〉
具体的には、公職選挙法や施行令で、選挙区ごとの議員定数は最新の人口に基づいて定めるとしており、条例改正案に、再来年（令和7年）の国勢調査をふまえて必要な見直しをするという附則を盛り込むべきだとしています。
大阪維新の会は条例改正案を修正するかどうかなど、対応を検討する方針です。
