第4波、大阪府は全国に先行して感染拡大します。全年代でほぼ同時に感染拡大し、高齢者施設クラスターも多発。重症者数は第3波の約3倍の速度で増加し、最大499名でした。(重症病床使用率は100%超)病床はオーバーフローし医療崩壊します。新規陽性者数の急増に伴い、症状急変により宿泊療養施設や自宅から病院に搬送されるケースも増加しました。救急搬送において長時間待機を救急車内で余儀なくされる例も複数起きました。第4波の死亡者数は累計1541名。3月の議会で広域一元化条例案を可決したかった維新の会。読売新聞の言葉を借りると「救える命と諦める命の選別」もあった大阪府の第4波。吉村知事のコロナ対策の失敗の責任は、問われるべきではないでしょうか。
2021年1月18日
大阪府でも感染経路不明のアルファ株陽性者が初めて発生(海外渡航歴なし、市中感染疑い例)
2月4日
アルファ株による全国初めての死者は大阪府の80代女性でした。
2月19日
第38回新型コロナウイルス感染症対策本部会議
緊急事態宣言の解除要請を国に行うことを決定する。
2月22日
1月中旬の陽性者3名がアルファ株に感染していたと確認、報じられます。
2月25日
吉村知事と数名の職員のみに、アルファ株による初の死亡例(女性・80代)情報が届きます。国にもこの時点で報告されました。
2月26日
第39回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議
大阪府を緊急事態宣言の対象から除外するという国の決定を受け開催。
(この日、吉村知事はアルファ株で死亡された女性について言及しませんでした。医療専門家のご意見は書面提出方式をとっており、アルファ株による死者がすでに府内で発生していたという情報を知らずに提出されたご意見の可能性があります。)
3月1日
大阪府では、1週間前倒しで緊急事態宣言が解除されました。
大阪市全域の飲食店等に対し営業時間短縮を要請
(リバウンド防止のため、段階的に解除)
4人以下でのマスク会食の徹底を要請
これは吉村知事の意向によるところが大きく、分科会尾身会長は「(早期)解除については、もろ手をあげてあるいは無条件で賛成ではありませんでした。緊急事態宣言を1週間前倒しにするということに対する懸念がかなり強く表現されたということがありました。」と当時を振り返りコメントされています。
(一方で、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県においてはその1週間後に2週間延長と判断され、3月21日に解除)
・緊急事態宣言が解除された3日後
関西医科大学総合医療センター 中森副病院長は、変異株に関する情報(検査結果)を大阪府にメールを送信
3月4日
大阪府はアルファ株の情報を初めて府民に提供します。(死亡者の情報は公表されませんでした。)
3月5日
見張り番指標が基準を超過する。(当時の条件:4日連続して前日増加比が1を超過)
3月17日
他都道府県でアルファ株の死者が公表されたことを受け、吉村知事は新型コロナウイルスの英国由来の変異株(アルファ株)に感染した府内の80代女性が、2月上旬に亡くなっていたことを明らかにしました。
3月20日
見張り番指標により感染拡大の兆候を探知
首都圏(1都3県)との往来自粛を要請・新大阪駅での検温実施(~4月9日)
3月24日
大阪府議会 広域一元化条例案可決
3月26日
大阪市議会 広域一元化条例案可決
3月29日
国際金融都市OSAKA推進委員会設立総会を開催
4月1日
広域一元化条例施行
大阪府全域の飲食店等に対し、営業時間短縮(21時まで)要請
4月4日
まん延防止等重点措置(適用区域:大阪市)
大阪市内・大阪府外への不要不急の外出自粛要請
軽症中等症受入医療機関(基幹病院)に重症化患者の自院での治療継続を要請
大学病院へのさらなる病床の確保要請
4月6日
吉村知事キャスト生出演(食べれマスク姿を披露)
4月7日
「大阪モデル」赤信号点灯、医療非常事態宣言を発出。
重症患者受入医療機関に対し、許可病床規模に応じた追加病床確保要請
三次救急・大阪市立大学医学部付属病院 救急患者の受け入れを停止
日本共産党大阪府議団「新型コロナ『第4波』への緊急対策を求める申し入れ」を提出
4月8日
副首都推進本部会議開催
広域一元化条例施行を受け、大阪府市「都市計画局・万博推進局」共同部局設置へ
4月9日
補助金による人工呼吸器等の整備実績のある医療機関での重症化治療継続要請
4月12日
一般医療を一部制限の上、重症病床の緊急要請に応じるよう再度の要請
4月13日
新規陽性者数が1000人を超過する
4月15日
菅総理、国会参議院本会議にて第4波を否定
4月16日
吉村知事が三日月知事に、大阪府から、県内の医療機関での重症者受け入れを要請
4月17日
藤井部長「忘れもしない4月17日土曜日『入院先が決まらない』という報告を受けた。」
日本維新の会、リーガロイヤル大阪にて党大会開催 松井元代表、出席
4月19日
大阪府医療監「年齢が高い方につきましては入院の優先順位を下げざるを得ない」と府内の全18保健所所長にメールを送信。後に物議を醸します。
4月20日
第46回大阪府新型コロナウイルス感染症対策本部会議開催
吉村知事、緊急事態宣言の発出を国に要請しました。
朝野座長「今の医療の状況、ものすごく逼迫して、(確保していた重症病床数を)はるかに超えて重症者数300(名)ということは、実は中等症(病床)まで影響が出てきて、まさにこれは『医療崩壊』と言ってもいいような状況になってきている。ただし、いま大阪は出来るだけ医療の皆さんの対応でそこを何とかこらえているという状況が起こっている。この状況がもう少し続いたら、多分持ち堪えられないと思います。」
4月22日
入院患者待機ステーション運用開始(8床)
4月25日
緊急事態宣言発令
4月26日
入院患者待機ステーション受け入れ開始
4月27日
副首都推進本部会議開催
府から要請
4月28日
入院患者待機ステーション 10床へ増床
4月30日
第二入院患者待機ステーション運用開始(8床)
大阪維新の会 中谷議員入院(当時、入院調整・自宅療養者数は15829人)
5月1日~10日(ゴールデンウィーク)
大阪大学医学部附属病院のICU=集中治療室を全て新型コロナの患者専用病床に
・脳死からの臓器移植手術が事実上、実施できない状態
・コロナ病床30床のために10人の患者の手術が延期になる
第49回中之島まつり中止(5月3~5日)
NHK 「高齢者施設での看護を余儀なくされる陽性者は、無症状者のみだけではなくなってきた」と報じる。
5月5日
大阪医科薬科大学病院 梅垣部長 ニュースウォッチ9「医療崩壊」だと思う
5月12日
緊急事態宣言延長
6月1日
緊急事態措置適用の再延長
6月21日
緊急事態措置からまん延防止等重点措置へ移行
・入院率の推移
いかに後手後手だったか、吉村知事が党派に所属する知事でなければ、もっと早くに対策がとられ、救えていた命があったのではないかと一部からは疑問の声もあがっています。
第4波では、延べ55318人が陽性となり1541名もの方がお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
情報源
2/4 大阪で変異株感染の80代女性が死亡〈毎日新聞〉
第39回 新型コロナウイルス対策本部会議 2月26日 専門家ご意見〈大阪府HP〉
https://www.pref.osaka.lg.jp/kikaku_keikaku/sarscov2/39kaigi.html
・緊急事態宣言早期解除直前の会議に寄せられた医療専門家のご意見
掛屋副座長「緊急事態宣言解除後にリバウンドとなるリスクもはらんでいる。」
佐々木委員「地域限定の1時間の時短の延長が、どれほど効果的であるか不明であり、早期(2週間は必要)の検証が必要である。基本的に2週間単位で検証していってはどうか。」
茂松委員「リバウンド防止策で重要なことは、拡大兆候を把握した場合、早期に対策を講じることである。」
白野委員「急激に重症者が増えることはないと考えるが、重症病床使用率が45%という数字は、医療現場としては決して余裕がある状態ではない。新規感染者数が再び増加に転じてきた場合、約2週間後には重症患者も増加することがこれまでの経験から分かっているので、重症病床使用率70%にこだわらず、早めにブレーキをかけるようにお願いしたい。
マスク会食について、反対するものではないが、注意いただきたい点がある。マスクの表面は汚染されており、それを頻繁に触りながら飲食をすることはかえって感染のリスクになりうる。
(自分が感染している場合:自分のマスクを触った手で、食べ物を運んだりして取り分けるなどして、他者に感染させるリスクがある。
他者が感染している場合:その飛沫を浴びた可能性のあるマスク表面を触った手で飲食することで、自分に感染するリスクがある。)」
倭委員「緊急事態宣言解除後のリバウンドに対する警戒が極めて重要である。すでに現段階で新規感染者数の下げ止まりの傾向が見られている。時短要請のない市外での感染の広がりが予想される。万一の感染再拡大が見られた際の早期の大阪モデルによる赤信号(医療提供体制のひっ迫)の再点灯を行うかどうかなどの検討を速やかに行うことが必要である。」
※時系列でご確認下さった皆様はお気づきになられたことと思いますが、医療専門家の貴重なご意見は活かされませんでした。
NHK 検証「変異ウイルス」早期に把握 第4波の教訓 医師語る
※倭先生は、4月13日にミヤネ屋に出演した際にも病床逼迫に提言をされていました。
・入院患者の約半分が変異ウイルス感染
・変異株の患者の場合、 初期の治療対応ができていないと重症化する
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20221128/2000068607.html
※放送されたのは、2022年11月28日
(動画記事としてしばらくの間は配信されていましたが、2023年冬にリンク切れ)
新型コロナウイルス感染症対応記録(P.65~71)
http://www.jpha.or.jp/sub/topics/20230427_2.pdf
この対応記録には、
わが国の新型コロナウイルス対策は、
感染者数をなるべく抑えて、
医療へのアクセスを確保し、
死亡者数をなるべく抑える"感染抑制"を目的とした対策が行われてきた。
とも記されています。
吉村知事は何度も「いつどこで誰が感染してもおかしくない」と口にされていた程に、感染者数をなるべく抑えることに積極的な方ではありませんでした。そのため、大阪府は、第4波に限らず、幾度となく感染拡大抑制に失敗しています。また医療へのアクセスを確保できてもいませんでした。医療提供されないままお亡くなりになられた大阪府民は多くいらっしゃいます。わが国中枢のコロナ対策に関わる医療専門家から示されていた「死亡者数をなるべく抑える"感染抑制"を目的とした対策」に逆らった方針をとっていたのですから、感染者数を抑え医療へのアクセスを確保することに尽力し続けた他都道府県と比較した時に、「大阪府の死亡者数が全国最多」となってしまったことは必然です。結果責任は問われるべきではないでしょうか。
大阪府新型コロナウイルス専門家会議 倭委員〈報道ステーション 2021/4/7〉
日本共産党府議団が大阪府に申し入れ〈2021/4/7〉
http://www.jcp-osakahugikai.com/katudou/2021/20210407.html
感染急拡大の大阪府 増床→減床→再び増床要請〈MBS 2021/4/8〉
- 近畿大学医学部附属病院・病院長「単純に動かせるものではない」
「助かる命を落としますよ」〈関西テレビ 2021/4/12〉
- “第4波”で医療崩壊が目前に迫る大阪…最前線が抱く「危機感」
本来、重症患者に対応する病院で行われるはずの治療を迫られる恐れがある、中等症対応病院
大阪府が滋賀県に重症者受け入れを要請〈2021/4/16〉
アゴラ 4/19「大阪府医系技官トップが高齢者受け入れ後回し指示」
「大阪の医療は崖っぷち」”第4波”で満床続く重症病床の今を取材〈MBS 2021/4/23〉
基礎疾患ない20代も人工呼吸器が必要な状態に
- 重症病院に来る患者さんの多くが、自宅または宿泊療養中に悪化して救急病院に来てる。関西医科大学では感染拡大に伴って重症病床を増やしてきましたが、限界がきている。20代肺炎例4例目の男性は、搬送に10時間を要した。
4/24 行き場のない救急車をトリアージ 大阪 生と死 狭間の現場より〈NHK〉
AERAdot. 料理人 神田川俊郎さん 4/25永眠
〈大阪府HP〉報道発表資料でしたが、頁はすでに削除されています。
大阪医科薬科大学病院 集中治療部部長〈報道ステーション 2021/4/27〉
大病院で全ICUをコロナ病床に切り替え〈報道ランナー 2021/4/29〉
- 他の医療は?難しい判断 「府はコロナを診てくれと言うだけ」
大阪大学病院ICUをコロナ患者専用に 脳死臓器移植手術に影響〈NHK 2021/5/1〉
「大阪大学医学部附属病院は、府の要請を受けて1日から10日までの間、30床あるICU=集中治療室をすべて新型コロナの患者専用としました。」
入院待機中の高齢者 自宅などで死亡相次ぐ〈NHK 2021/5/5〉
4月上旬から6月下旬まで、吉村知事が出演したTV番組一覧
大阪府新型コロナウイルス対策本部会議〈大阪府HP〉
https://www.pref.osaka.lg.jp/kikaku_keikaku/sarscov2/
※入院患者待機ステーション 累計入所者86名
滞在時間:最大51時間11分 平均:約10時間
大阪府庁の点検・棚卸し結果 参考資料1-2
大阪府/第19回「副首都ビジョン」のバージョンアップに向けた意見交換会 (osaka.lg.jp)
大阪医科薬科大学病院 病院長〈報道ステーション 2021/5/7〉
大阪の100万人当たりの新規死亡者数がインドを上回る「まるで姥捨て山」とまらない医療崩壊〈AERAdot. 2021/5/8〉
2020年9月に発足した菅内閣は、コロナ対策よりも経済再生を重視した。
大阪の自宅療養者、1か月で3・5倍…自宅で死亡する感染者急増 〈読売新聞 2021/5/11〉
急拡大している新型コロナウイルスの「第4波」で感染者が自宅にいたまま死亡している実態が明らかとなった。病床の逼迫で自宅療養者が急速に増加していることが背景にある。
3月以降の「第4波」で、自宅で亡くなったのは17人
(3/1~4/30 12人・5/1~5/7 5人)また17人中5人は5月に亡くなっており、病床不足の深刻さが鮮明となっている。
大阪の自宅療養者、1か月で3・5倍…自宅で死亡する感染者急増 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
コロナ重症治療の麻酔薬がピンチ〈朝日新聞 2021/5/22〉
- 医療現場からは「医療崩壊の表れだ」と悲鳴