橋下知事時代の黒字、実は不適切な会計処理によるものだった

#嘘・デマ・印象操作
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橋下知事は就任直後に大阪府を「破産会社」と発言、その年に黒字化を達成しました。
しかしその後、実質の赤字を粉飾する不適切な会計処理が発覚。「大阪府は優良会社になった」と橋下氏は退任時に語りましたが、その翌年に府は起債許可団体に転落。まったく優良会社になっていなかったことが露呈しました。

目次

解説

よく「大阪府の財政危機が、維新の改革で改善された!」と思われていますが、それは誤解です。

2008年の橋下知事誕生時、「破産会社(橋下氏)」だった大阪府財政は、その年の決算で黒字化に成功しました。しかしその後の外部監査で、2008年度の不適切な会計処理が発覚。「通常であれば赤字」と指摘されたのです。

優良会社になったはずの大阪府は、翌年2012年に「起債許可団体」に転落。2018年まで脱却できませんでした。「起債許可団体」とは「財政に問題があるため、地方債を発行して借金するのに国の許可が必要」という意味です。大阪府は、到底「優良会社とは言えない」自治体になってしまったのです。

そもそも長年の借金や支出体質を、たかだか数か月~1年の「改革」で良くすることなど、通常あり得ません。橋下氏は退任時の2011年には「大阪府は優良会社」とまで発言しましたが、それは粉飾による虚像でした。聞こえの良い「改革の成果」を声高に言う政治家を信用できるかどうか、市民の側による見極めが必要です。

なお、大阪市は維新府政以前から30年以上にわたって黒字。借金の減少も維新政治前からの傾向です。

大阪府「財政非常事態」時系列

2008年2月 橋下知事が、就任当日「財政非常事態宣言」を行い、職員に「破産会社の従業員」と宣言

2008年度 実質収支が黒字化

2010年2月 外部監査で2008年度末の不適切な会計操作を指摘される。

2011年10月 橋下氏が退任時「優良会社の従業員」と職員をねぎらう

2012年 起債許可団体に転落

2018年 起債許可団体を脱却

情報源

橋下知事「皆さんは優良会社の従業員」と辞任の弁〈日経新聞 2011/10/31〉

就任直後、府職員に「皆さんは破産会社の従業員」と宣言、府財政は08年度に実質収支が11年ぶりに黒字化。…橋下氏は職員向けの辞任挨拶では「優良会社の従業員」と財政再建の成果を強調しながら労をねぎらった。

〈日経新聞 2011/10/31〉
日本経済新聞
橋下知事「皆さんは優良会社の従業員」と辞任の弁 - 日本経済新聞 11月27日投開票の大阪市長選への出馬を表明している大阪府の橋下徹知事は31日、知事職を辞任した。橋下氏は同日の記者会見で「財政再建を進めたことで、百パーセントではな...

「破産会社」はほんとうに「優良会社」になったのか。首長としての実績を問う—橋下「大阪府改革」を検証する〈現代ビジネス 2011/11/8〉

 ところが、「11年ぶりの黒字」を正式に発表した後の2009年10月、減債基金とは別の基金からの借入が明らかになった。横山・太田知事時代に6基金から計1533億円の借入があり、うち1479億円が未返済になっていた。
さらに、翌10年2月の外部監査では不適切な会計操作が指摘される。…つまり、大阪府の黒字転換は、違法とは言えないまでも、さまざまな辻褄合わせで成り立ってきた、いわば”見せかけ”の数字だという指摘である

〈現代ビジネス 2011/11/8〉
現代ビジネス
「破産会社」はほんとうに「優良会社」になったのか。首長としての実績を問う---橋下「大阪府改革」を検証... 11月27日の投開票に向け、白熱する大阪市長・府知事のダブル選挙。知事職を辞して、市長の座を目指す橋下徹が掲げる「大阪都構想」や教育基本条例案、さらには彼の独裁的手...

大阪府資料「平成21年度 包括外部監査結果報告書 概要版」

(2008年度に対する大阪府への外部監査報告)

1.継続・反復して実施している単年度貸付は不当 (監査の結果)(報告書本編65ページ)

府では実態として長期の貸付であるものを、年度末日に一旦全額の返済を受け、翌年度初日に再度貸付を行うという単年度貸付を5法人に対して平成20年度中に1,193億円行っている。

これらの短期貸付は、いわゆるバブル崩壊後の府財政状況の悪化に伴い、府の歳入確保による財源対策の一環として、それまで各法人に長期で貸し付けていた資金の繰上償還を受け、その翌年度以降において単年度貸付(短期貸付)を反復・継続的に実施する方式で対応し、今日に至るものである。府の予算編成上、歳入欠陥とならないように、2日間だけ資金を引き揚げているだけであり、実質的には府からの長期貸付である。

当該単年度貸付については、直ちに是正すべきである。

仮に、平成20年度末に2日間のみ民間金融機関から借り入れている金額を、実態どおり府が継続して長期貸付とした場合(すなわち、過去において短期貸付への切り替えを行わなかったものとした場合)、95,692百万円の府の歳入がマイナスとなることから(ただし、府の追加的な資金負担はない)、平成20年度決算における一般会計決算額は85,298百万円の赤字となる(確定値は10,394百万円の黒字)。

https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwarp.da.ndl.go.jp%2Finfo%3Andljp%2Fpid%2F12366181%2Fwww.pref.osaka.lg.jp%2Fattach%2F4098%2F00042520%2F21houkatugaiyou.doc&wdOrigin=BROWSELINK

大阪府、起債許可団体から脱却へ〈日経新聞 2018/9/20〉

大阪府は府債発行に国の許可が必要となる「起債許可団体」から脱却できる見通しだと発表した。財政規模に占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率が2017年度決算で17.7%(暫定値)となり、直近3年間の平均値が基準である18%を下回ったためだ。10月に確定する。府は2012年度に許可団体となったが、今後、起債の事務手続きが簡素化される。

〈日経新聞 2018/9/20〉
日本経済新聞
大阪府、起債許可団体から脱却へ - 日本経済新聞 大阪府は府債発行に国の許可が必要となる「起債許可団体」から脱却できる見通しだと発表した。財政規模に占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率が2017年度決算で17

【参考】

「財政非常事態宣言」〈阪南市HP 2021/2/18〉

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阪南市長 水野 けんじ(大阪維新の会顧問)〈大阪維新の会HP〉

大阪維新の会
水野 けんじ|維新の会メンバー|大阪維新の会 「大阪維新の会」公式サイト。
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