三度目の住民投票を迎えるかもしれない大阪。「大阪都構想」で大阪が更に成長してゆくかのようなアピールが気になります。いわゆる「大阪都構想」とは何なのかを確認しましょう。
「大阪都構想」とは
二度目の「大阪都構想」住民投票前(2020年)に出版された「『都構想』の嘘と真 新聞うずみ火編」(せせらぎ出版)所収、『「大阪都構想」と二重行政のゴマカシを斬る』(立命館大学教授 森裕之氏)より引用します。
いわゆる「大阪都構想」とは
1.政令指定都市の「廃止」
大阪市(それに続き堺市など)は地図上・歴史上から消滅する
2.大阪市の分割(解体)
現在一つの自治体である大阪市は複数の特別区(特別地方公共団体)にバラバラにされ、それぞれ別個の
自治体になる
3.政令指定都市の大阪府への従属団体化
大阪府と対等な関係にある自立した大阪市は、大阪府に権限と財源を握られた従属団体になりさがる。
特別区で大阪市が失う権限
都市計画、港湾、交通、インフラ、産業政策、高等学校・大学、観光・文化・スポーツ振興など
大都市として発展するための行政権限・基盤はすべて大阪府へ奪われる。当然、財源も吸い上げられる。
大阪府・市の資料によると、大阪市が実施している事務は2,923、大阪府の事務は1,669合わせて4,592の事務がある。大阪市は府から特別の事業をたくさん移譲されており、都道府県とほとんど変わらない。しかし大阪市が潰されると、市の持っている政令指定都市としての機能は返さなければならない。権限がなくなるから。当然、大阪市の「広域的な事務」は府に引き継がれ、市にとって大事な都市計画、道路、河川など、重要な事務のほとんどが府に持っていかれる。
財源も大阪府に吸い上げられる
全国の96%の自治体が市民が納めた税金だけでは行政ができず、国からの地方交付税で埋めている。特別区になると、大阪市の大切な税金だった「法人市民税」「固定資産税」「都市計画税」などが大阪府の財布に入る。府の税金に変わる。国からの地方交付税も大阪府に入る。配分される交付金で足りるか足りないかの問題ではない。本来、特別区の税金であるべきものが大阪府の税金に変えられることが問題。しかも大阪府に奪い取られた税金の使い道は大阪府が決定する。制度案では「個人市民税」「軽自動車税」「市たばこ税」の3種類の税収のみが自主財源。
「二重行政論」の嘘
前回(一度目)の住民投票で二重行政の廃止による財政効果額について維新は「1,000億円浮く」と言い、野党は「1億円しか浮かない」と反論していた。今回(二回目の住民投票)は「削減効果額」ではなく「改革効果額」と言い換えている。その大部分が大阪市を潰すこととはまったく関係がない。
府市で重複している行政サービスの改革効果額(財政シュミレーション)は4,000万程度。
イニシャルコスト(初期費用・導入費用)は現時点で241億、ランニングコストは30億。
大阪市が衰退すれば周辺自治体も衰退する
大阪市の昼夜人口比率(夜間人口100人当たりの昼間人口のこと)は東京23区以上の高さ。昼間に大阪市で働いて、夜は周辺自治体に帰って生活している人が多い。それが大阪市が持っていた機能でもある。大阪市で昼間働いている人の6割が大阪市以外の府内から来ている。つまり大阪市で働いて所得を得て、周辺自治体に帰り、税金を納めて住民サービスを受けてきた。
大阪市の経済活動が衰退すると、この人たちの給料も減る。自分が住んでいるところに税金を納めることができなくなる。周辺自治体の収入も減る。大阪市と周辺自治体は運命共同体。
