大阪市廃止・特別区設置の是非を問う、いわゆる「大阪都構想」。この住民投票はなぜ行われるのでしょうか。事実を是非知ってください。
ジャーナリスト幸田泉氏の当時の記事を引用します。

なぜ住民投票が行われるのか。大阪市民が不利益を被る事態だから。
2012年、大都市法は可決、成立しました。この時、この法案の提案者として国会答弁をしたのが佐藤茂樹衆院議員です。住民投票規定を盛り込んだ理由を「指定都市が廃止になって、権限や税財源の面で格下げともいえる事態が生じ、住民の生活等に大きな影響がある」と述べています。この住民投票は不利益を被る市民が「それは嫌だ」と拒否する権利を与えられたもの、ということです。
政令指定都市を廃止して特別区を設置できる法律「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大都市法)は、2012年8月、民主党政権下の国会で可決、成立した。この法案の提案者として国会答弁したのが佐藤茂樹衆院議員で、住民投票規定を盛り込んだ理由を「指定都市が廃止になって、権限や税財源の面で格下げとも言える事態が生じ、住民の生活等に大きな影響がある」と述べている。つまりこの住民投票は、政令指定都市から特別区に格下げになって不利益を被る市民に、「それは嫌だ」と拒否する権利を与えておくものなのだ。
正しい情報も知らされないまま住民投票に至っていた
ここで「大阪都構想」の住民投票を振り返っておきましょう。住民投票が何であるかも知らされないばかりか、住民投票に至るプロセスも異常だったからです。
大阪市が四分割された特別区になっても、地方交付税は増えず、結果としてその不足が200億にものぼることを、政策通で知られる川嶋広稔元大阪市議は何度も指摘してきましたが、これが報道されることはほぼありませんでした。
住民投票前の「行政運営コスト218億増」という新聞報道がデマだという声が出ていますが、大阪市が廃止されれば住民サービスを削減するしかなく、貧しくなることは明確にわかっており、当時、行政法の専門家に「大阪市民は茨の道を行くのか」と言わしめたほどだったのです。その「制度の致命的欠陥」が私たちにきちんと知らされることはありませんでした。住民投票の意味が知らされないことはもちろん、これも異常なことです。こちらの記事もご覧ください。

大阪市民の「不利益」は、大阪市税が大幅に大阪府税に変わるだけではない。大阪市の廃止、分割について、大都市法が成立した後の2012年9月、第30次地方制度調査会の専門小委員会で行政法の専門家である太田匡彦・東京大学教授は「大阪市民は茨の道を行くのか」と述べている。
これは、大阪市は分割によって、法的に定められた行政運営の必要経費である「基準財政需要額」は増えるのに、国の地方交付税は複数の特別区を一つとみなして計算するため、分割コストは地方交付税に反映されないことを指している。日本の地方自治体の大半は税収が「基準財政需要額」に満たず、不足分を地方交付税で補てんして運営している。大阪府内の4特別区は国が国民に保障している「基準財政需要額」が満たされない日本一貧乏な自治体となる。それを太田教授は「茨の道」と表現した。
この問題は大阪都構想の制度設計を協議する「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称、法定協議会)で、自民党の川嶋広稔・大阪市議が何度も指摘し、自民党市議団は地方交付税の不足分は少なくとも200億円に上るとの独自試算も公表した、しかし、大阪市の広報物は大阪都構想が根本的に抱えるこの問題に全く触れていない。制度の致命的欠陥を市民に知らせないのは、住民投票で反対票が増えることにつながるため「意図的に隠ぺい」していると言うほかない。
大阪市の広報に関する助言をする特別参与の山本良二・近畿大学教授はかねて、大阪都構想の広報について「広報というより広告になっている」「メリット、デメリットなど客観的な情報を伝えるべき」と苦言を呈してきたと報道されている。8月18日の広報動画に関する会議で山本・特別参与が「(大阪市が特別区になれば)バラ色という印象を与えてしまわないか」「かなり偏った内容」と指摘したのに対し、法定協議会の事務局である副首都推進局の広報担当課長は「賛成に誘導するために(やっている)」と答えている。
客観的なデメリットの情報すら知れ渡ることのない異常な状況下で行われてきた「大阪都構想」住民投票。
また三度目の住民投票を維新が目論んでいますが、そもそも住民投票が行われるのは、なぜなのか。「大阪市廃止・特別区設置」いわゆる「大阪都構想」が大阪市民に不利益をもたらすからこそ、大阪市民にそれを拒否する権利が与えられているのだということを是非、知っていただきたいと思います。