石川県の維新支部長「県民割」で政治資金パーティー 全国旅行支援も利用で「考えが甘かった」

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能登半島地震の影響を受けた観光業への支援策「北陸応援割」が3月中旬から始まった。思い起こすのは、コロナ禍で国が支援した「全国旅行支援」や「県民割」だが、これを政治資金パーティーに使っていた石川県の維新関係者がいたことが明らかになったという。AERA dot.編集部・今西憲之氏の記事を引用する。

「全国旅行支援や県民割を政治資金パーティーに使い、割引を受けたというのはその通りです。おかしなことでした。お金を返還できるか問い合わせをしたいと考えています」神妙な面持ちでそう話したのは、日本維新の会の衆院石川1区支部長で、金沢市議4期の実績もある小林誠氏だ。前回衆院選(2021年10月)では石川1区から立候補し、落選はしたが4万5千票余りを得た。現在は石川維新の会幹事長でもある。

■県民割クーポン券分で4万円以上の割引き?

小林氏が前記のように話し、頭を下げたのは、2022年に石川県で実施された「県民割」と「全国旅行支援」を自身の政治資金パーティーで利用し、割引を受けたことをAERA dot.が指摘した際のことだ。問題の政治資金パーティーは少なくとも2度、確認されている。

2022年5月14日、小林氏は金沢市内のホテルで維新の梅村みずほ参院議員を招き、前半に講演会、後半は飲食を伴うパーティーを開いた。式次第によれば、午後5時に始まり、梅村氏の講演と質疑応答が終わった後、午後6時半から同8時半までがパーティーとなっている。

当日の出欠表によると、14人が参加していることになっているが、小林氏は家族が新型コロナウイルスに感染し、濃厚接触者となったためにリモートとなった。パーティーの開催費用の請求書は後日、ホテルや旅行会社から小林氏の事務所に送られてきた。請求金額の合計は24万4019円で、<県民割クーポン券分 マイナス44000円>と割り引かれている。そして、金沢市内の旅行会社からも請求書が届いており、合計金額が16万4619円となっているが、<県補助 単価5000(円) 数量22(人)マイナス110000円 値引き>とあるのだ。

この当時の石川県の「県民割」は、旅行代金が1万円以上2万円未満の場合、1人につき5千円が割引になり、2千円の観光クーポン券がついて7千円分がお得になる。これは日帰り旅行にも適用されていた。石川維新の会の事務員がこう語る。

「金沢市内の旅行会社が、ホテルの食事、宴会とタクシー代をセットにして県民割が利用できるパッケージを組んでいました。小林氏は、県民割を使えば政治資金パーティーの代金を浮かせることができると考え、使ったようです」

 小林氏が旅行会社の担当者とやりとりしたSNSには、「県民割」の明細も書かれた請求書が貼り付けられ、<クーポン2000円分を当日〇〇(ホテル)さんにお支払い下さい>との旅行会社からのメッセージに、<かしこまりました>と返信している内容が残っている。

小林氏がタクシーの送迎場所についても細かな打ち合わせをしているLINEもある。鈴木宗男氏を招いたパーティーでは全国旅行支援を利用「県民割」や「全国旅行支援」の利用には、ワクチン接種済みの証明書やPCR検査などの陰性証明書が必要とされていた。 

梅村氏は参院大阪選挙区の選出で、官報でも大阪市内の住所が記載されており、「県民割」の対象外とみられる。 その点を小林氏に指摘すると、「梅村氏からはワクチン接種済みの証明書などはもらっていません。大阪在住でおられるでしょうから、対象外でもありました。おそらく旅行会社には別の人の名前や書類を出して割引対象になったんじゃないかと思います。私の考えが非常に甘かった」 と話した。 

関係者によれば、同年11月には、当時、維新所属の参院議員だった鈴木宗男氏を招いて開いた政治資金パーティーでも「全国旅行支援」を使って割引を受けたという。 同年9月30日に関係者と小林氏がSNSでやりとりした打ち合わせでは、「前回(梅村氏のときは)補助金(県民割)を使っての開催でした」 との指摘に、「了解しました」「今回も旅行会社を通じてやってます。請求も旅行会社からになります」 と返信している。この点について小林氏は「鈴木氏のときも旅行支援トラベルを使っていました」と認めた。

■政治資金報告書に記載なし

また、小林氏の政治団体は、鈴木氏が政治資金パーティーに出向いたときに、20万円の寄付を受けている。鈴木氏の政治資金収支報告書では「こばやし誠後援会」に支出していることになっているが、小林氏側の政治資金収支報告書には記載がない。小林氏はこの点について、「鈴木氏に来ていただいた政治資金パーティーの収入に20万円を計上したので、政治資金収支報告書には記載していません」と説明した。政治資金規正法の虚偽記載にあたらないか聞くと、「確かにそうですね」と話した。

現在、能登半島地震の「北陸応援割」は好評を博しており、予算が足りないほどの状況のなか、「県民割」などで政治資金パーティーの経費を浮かすのは問題ないのだろうか。そもそも維新の政策の柱は「身を切る改革」のはずでは? 

小林氏は、「石川県から次期衆院選でも維新から出馬しようと支部長になっており、道義的には問題があると思う。法的な問題はすぐにわからないが、必要であれば修正なり対応したい」と弁明した。

維新では、これまで多々、「政治とカネ」の問題が浮上している。今回の小林氏の問題も、観光支援策で政治資金パーティーの利益を増やそうとしていたと言わざるを得ない。政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、「小林氏の選挙区支部は政党交付金という税金を受け取っているのに、税金がもとになっている全国旅行支援など、観光支援策を政治資金パーティーに使って割引を受けるというのは問題だ。鈴木氏の政治団体が小林氏の政治団体に寄付していると記載。しかし、小林氏は勝手にパーティー収入としているのは政治資金収支報告書の虚偽記載にあたるのではないか」としている。

引用:AERA dot.編集部・今西憲之氏

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