2015年から、女性市議が笹川理府議に継続的にセクハラ・パワハラ被害を受けていた問題。
女性市議からの相談を受けた大阪維新の会は「不適切な言動」と判断しながらも、笹川議員に口頭で注意・指導するのみ。結局、2023年5月17日に週刊誌によって報道されるまでこの問題が表面化することはありませんでした。
この報道で、大阪府議団代表に就任したばかりの笹川議員には批判の声が集まりますが、党の判断はまたしても厳重注意という甘い処分。5月22日には追加の詳報があり、党もようやく府議団代表だけは辞任を受理しましたが、松井一郎氏は「次選挙で審判を仰げばいい」などと語っていました。
しかし日々高まる批判に押され、5月26日には党幹部もようやく本人と面談。ところが、ここに至ってもなお党の出した結論は除名処分止まりで、辞職勧告決議を出すこともなく※、笹川氏には満額のボーナスが支給されることとなりました。
※…維新の会は府議会で過半数を占めるため、辞職勧告決議を決議できる
時系列
2023年
4/9 統一地方選挙（大阪府知事・大阪市長・大阪府議・大阪市議）
4/30 府議会議員の任期スタート
5/8 笹川理 大阪府議（41）大阪維新の府議団代表に就任
5/17 文春砲 第一弾「ストーカー疑惑」
5/18 吉村氏「報道はほぼ事実。厳重注意処分を行った」
5/22 文春砲 第2弾「一回えっちさせたる」
同日、府議団長の辞任届を笹川氏が提出、受理される。
5/25 松井氏「（笹川氏の進退は）次の選挙で府民の判断を仰ぐのがいいと思う」
5/26 吉村洋文代表や横山英幸幹事長らが笹川府議と面談。笹川氏が維新を離党する意向を固める
5/29 離党届提出（党本部預かり） 吉村氏発言「ハラスメントを認定。除名処分とすべき。議員辞職すべき」
5/30 橋下徹氏代表の法律事務所の代理人弁護士が「笹川氏による冗談の可能性が極めて高く、両者の中では単なる笑い話として消化されていたことは疑いようがない」と回答
5/31 文春砲 第3弾「酔った時に無理やりしました笑」
6/1 議員のボーナス支給基準日。笹川氏に206万支給されることが決定。
6/3 大阪維新の会は離党届を受理せず、除名処分を決定。吉村氏発言「議員辞職すべき」
情報源
大阪維新府議団代表を厳重注意 吉村代表「週刊誌報道はほぼ事実」〈朝日新聞 2023/5/18〉
吉村氏は記者団に、「事実関係の把握を行った。17日に笹川議員に対して不適切な言動であるということで、幹事長による厳重注意処分を行った」と説明。「報道はほぼ事実だと思う。（維新）幹事長が聞き取り調査をしましたが、報道でされているのはおおむね事実」と述べた。
同僚女性議員にハラスメントで厳重注意処分 大阪維新・笹川理議員が府議会議員団代表を辞任〈日テレ 2023/5/23〉
笹川氏は問題の発覚後、記者団に対し、「代表を辞任する考えはない」としていましたが、複数の党幹部によりますと、22日付で「一身上の都合」という理由で辞任届を提出し、受理されました。
維新府議のパワハラ 松井前代表が陳謝「当時内容把握なら除名」〈毎日新聞 2023/5/25〉
松井氏は「当時、（メッセージの）内容を精査すべきだった。対応に甘い部分があったと反省している」と述べ、内容を把握していれば、笹川氏を「除名」すべきだったとの見解を示した。一方、「週刊誌報道で彼の全てを否定するのも違う」として、笹川氏の進退については「次の選挙で府民の判断を仰ぐのがいいと思う」と述べた。
松井氏によると、2015年に宮脇氏から相談を受けた際、笹川氏の言動が「不適切」だと判断。本人を呼んで口頭で注意、指導したという。しかし、メッセージの内容までは精査せず、党紀委員会を開くなど組織的な対応もしなかった。…
「離党」の意向も党内では異論も 維新・笹川府議ハラスメント問題 吉村代表、横山幹事長は本人と面談も何も語らず〈ABC 2023/5/23〉
笹川理前代表（41）が、事態の責任を取って「離党」する意向を周囲に伝えていたことがわかりました。…吉村洋文代表や横山英幸幹事長らは26日、一連のハラスメント問題をめぐって党本部で笹川府議と面談。…党内の一部からは、事態を深刻にみて「除名処分」にすべきだとの意見も出ていて、面談後、笹川府議は報道陣を前に、何も語らずに党本部をあとにしました。
【速報】維新・笹川府議に吉村代表「除名が相当だと思っている」後輩女性市議へのハラスメント問題『議員辞職すべき』との考えも示す 府議本人は離党届を提出〈MBS 2023/5/29〉
（大阪維新の会・吉村代表 5月29日）「笹川議員から離党届の提出がありました。これは預かりで正式の受理ではありません。私は今回の件についてパワハラ・セクハラはあってはならない、議員の行動について厳しく判断すべきで、大阪維新として除名が相当だと思っています。明らかに女性市議の意思に反したハラスメント行為が認定できると判断しました。週刊誌記事の部分ではなくて多くの資料提出を受けて精査したところ明らかにハラスメント行為があり看過できないということです」
「二度処分することになりますが？）厳重注意処分の時について初動が適切ではありませんでした。記事が出た時にそこに書いてあった事実関係について意見を聞いたうえで厳重注意処分としました。しかし、背景の事実関係を詳しく調べた上で判断すべきでした。初動に不適切なところあったと反省しています。双方から事実関係についての資料提出を受けています。これを見ると宮脇議員の意に反したハラスメント行為と判断していて、やはりこれは許されないと言うことで正式に除名が必要だと思います」
さらに吉村代表は笹川議員は議員辞職し選挙に出直すべきとの考えを示しました。
パワハラの維新大阪府議にボーナス206万円支給へ〈毎日新聞 2023/6/1〉
大阪府議会6月議会開会日の1日、女性市議へのハラスメント行為で離党届を提出し、党本部預かりとなっている大阪維新の会府議団前代表の笹川理府議…1日は議員のボーナス支給基準日…笹川府議は議員辞職を否定しているといい、党が処分を検討している。
「パワハラやセクハラを認定」 維新の会、笹川府議を除名処分に〈朝日新聞 2023/6/3〉
吉村洋文代表（大阪府知事）は同日、記者団に「政治倫理に反する行為かつ、党の信用を毀損（きそん）する行為だ」とし、「（笹川氏は）議員辞職するべきだ」と改めて述べた。
文春砲 第1弾「維新大阪府議団代表に女性市議ストーカー疑惑」〈週刊文春 2023/5/17〉
「関西大の院修了後、リクルートを経て、2011年に29歳の若さで府議に初当選、現在4期目です。府議団政調会長などを歴任した“維新のホープ”。プライベートでは3人の子を持つ既婚者です」（地元記者）…当時笹川氏は、市議になりたての宮脇氏を先輩として指導する立場にあった。
「しかし、宮脇さんは『笹川さんにパワハラやストーカー行為をされている』と漏らし、関係者に相談していました。笹川さんは当時独身で1人暮らしだった宮脇さんの自宅を深夜に訪れてインターホンを押したり、LINEや電話でひっきりなしに連絡していたそうです」（宮脇氏の知人）…
2015年9月に行われた東大阪市議選
「笹川先生の車に同乗したくなかった宮脇先生が、茨木市の実家に帰るため、距離的に近い高槻市在住の池下卓府議（現衆院議員）の車に乗せてもらった。すると、笹川先生が、なぜだ！ と激怒しはじめたのです」小誌が入手した当日のLINEによれば、笹川氏は〈こいや〉〈ふざけんなや〉〈おれ、あの場でめっちゃかっこわるいやん〉などとメッセージを連投…
文春砲 第2弾《維新が除名処分》〈一回えっちさせたる〉維新・大阪府議団 笹川理代表のセクハラ・ストーカー疑惑に新証拠 性的関係要求か 「週刊文春」取材申し入れ直後に辞意〈週刊文春 2023/5/25〉※オンラインは5/22
実は、笹川氏が激怒した東大阪市議選の帰り道のやり取りには、続きがあった。2015年9月23日、笹川氏は宮脇氏に対し、次のようなLINEも送っていた。
〈こんなにも愛してるって言ったこた（ママ）はほんとにいままでない〉
〈心の底から愛しているって言える相手やから〉
…
そして〈希が（中略）「一回えっちさせたる」って言われてそうなったら、それでこの関係はお終いになると思う。希がおれといるのが煩わしいって思うなら、そうしてくれれば〉などと暗に肉体関係を求めるような記述もある。
〈おれと仲悪くなって、希が府議団に誘われると思う？〉〈おれだって、一方的な想いだけじゃ、 壊れちゃうよ〉などと、先輩議員である自らの優越的な地位や立場を持ち出し、宮脇氏に自分に対して良好な態度をとることを要求するようなメッセージも含まれている。
「宮脇氏は笹川氏の一方的な片思いに、ストーカー行為に苦しみ、周囲に相談していた。それが原因で引っ越しもした。しかし、選挙区事情もあり、先輩議員である笹川氏を無下にできなかったのです」
文春砲 第3弾《維新が除名処分》〈酔った時に無理やりしました笑〉維新セクハラ府議・笹川理氏が女性市議に同意の無いままキスか〈LINE入手〉〈週刊文春 2023/5/31〉
〈好きなん？→好きですよ笑〉
笹川氏による“想定問答”はこう続く。
〈二人はできてんの？→向こうに聞いてみてください笑〉
だが、2人が交際していた事実はない。さらに、笹川氏は次のようなLINEも宮脇氏に送っていた。
〈ちゅーはしたん？→酔った時に無理やりしました笑〉
このLINEの通りであれば、笹川氏は宮脇氏に対し、無理やりキスをしたことになる。
実際、維新関係者によれば、宮脇氏は当時、「無理やりキスをしつこく迫ってきて、気持ち悪かった」と洩らし、相当参っている様子だったという。
…笹川氏に5月30日、事実関係の確認を求めたところ、大阪維新の会の創設者である橋下徹氏が代表を務める橋下綜合法律事務所の代理人弁護士を通じ、以下のように回答した。
「まず、笹川氏によると2015年9月23日に、宮脇希大阪市議との間のLINE上にて、以下のやり取り（註:〈ちゅーはしたん?→酔った時に無理やりしました笑〉など）をされたことは事実のようです。…当該やり取りが笹川氏と宮脇氏との間のLINE上のものであること、LINEの節々に『笑』との文字が挿入されていること、その後、宮脇氏からは当該内容に対して否定的な反応はなく、寧ろ宮脇氏からは、『（笹川氏から貰った）指輪返してブレスレットにしとくわ!』（同日12:41）、『ブレスレット毎朝晩付け外しするほどマメちゃうけど』（同日12:42）と、二人の関係性が良好であることを示す内容が送信されていることに照らせば、『無理やりしました笑』との部分は笹川氏による冗談の可能性が極めて高く、両者の中では単なる笑い話として消化されていたことは疑いようがありません。
…
この回答を受け、再び宮脇氏に事実確認を求めたところ、次のように語った。
――同意はあったのか?
「いや、それだけはないです。起きたことは党本部に報告しています」
